実話怪談集

チャラい彼氏

マッサージ店で働く30代の女性から聞いた話です。

私は怪談などは怖いのであまり見ませんが、不思議な神秘的な話は好きなんです。

こんな世界も世の中にはあるんだなぁと楽しいと思います。

でも私には所謂霊感はありません。

そんな私が20代の頃に不思議な体験をしたことがあるんです。

私が20代の頃に付き合った彼氏は明るい性格のなかなかなイケメンな彼氏でしたが、浮気性なところがあり喧嘩することもしばしばありました。

ある日の夜彼氏とホテルに泊まっていると、夜中に目が覚め体が動かなくなっていました。

金縛りだ！

そう思いました。

体は動かないものの目だけは動かすことができ、横向きで寝ていた私は隣で仰向けで寝ている彼に

助けて！

と念を送りましたが、彼もなんだかうなされて苦しそうにしており、どうしたらいいかわからず少し混乱していました。

ふと視線の端に違和感を覚えました。

その違和感のある方を見てみると、彼の足元に白いモヤのようなものがかかっているのです。

私は戸惑いながらそのモヤをよく見てみると、そのモヤの奥に白い女性のシルエットが見えてきたのです。

私は初めてみる霊的な存在に驚いてそのまま気を失ってしまいました。

翌朝起きると彼の様子が変だったので、どうかしたのか尋ねました。

すると

「昨日の夜怖い夢を見たんだ。」

そう言いました。

「確かに夜中起きたらうなされてたよ。」

とだけ言うと

「それなら起こしてくれよ！」

と怒られてしまいました。

いきなり怒鳴られてイラッとして昨日の出来事はあえて言わなかったんです。

それからも付き合っていましたが、3度目の浮気が発覚したときに浮気相手に本気になっていたのか、彼から別れようと言われ別れることになりました。

今度はチャラい人は嫌だと思い、誠実そうな方を友人に紹介してもらいお付き合いすることになりました。

ある日彼の家に泊まることになりました。

彼の家はアパートでしたが、清潔感がありリフォームしたてなのか新しい感じの家でした。

広めのワンルームにロフトがあり、そのロフトに布団を敷いて一緒に寝ていました。

夜中に目が覚めると体が動かず金縛りになっていたんだと思います。

ロフトに違和感はありませんでした。

しかし、下のワンルームの部屋に人の気配を感じるのです。

何かがいる

霊感はありませんが、そう思えて仕方がありませんでした。

そしてその何かの気配はどんどん近づいて来ている。

怖いけどどうすることもできません。

ギシッ…ギシッ…ギシッ…

どんどん近づいてきて遂にロフトを上がる梯子を登って来ているようでした。

その時には私は梯子の辺りから目が離せなくなっていました。

金縛りだからか恐怖からかはわかりません。

すると梯子の下の方から白いモヤが見えてきたのです。

そのモヤは登ってくるにつれて次第に濃くなっていきます。

どんどんと濃くなり、モヤの奥に女性のシルエットが見えてきたのです。

その存在の恐ろしさ、ロフトという逃げ出せない状況への恐ろしさからか私は気を失ってしまいました。

翌朝私は早くこの場から逃げ出したくなり、彼への挨拶もそこそこに帰ることにしました。

その後彼とはすぐにお別れしてしまいました。

彼からチャットアプリで

「価値観の違いから別れたい。」

そう連絡があったのです。

私は本心は別のところにあると思っています。

誠実だと思っていた彼も他に相手がいたんだと思います。

だってまだ付き合って少ししか経っていないのにいきなり価値観がどうのって不自然だと思うんです。

気になることがあれば指摘するなり質問するなりできますし。

それにチャラい彼氏についていたのと同じような女が彼にもついていたんですから。

私には霊感はありません。

だから幽霊がいるかはわかりません。

でも念や生き霊というものはあるんじゃないか。

そう思えて仕方がないんです。

チャラい彼氏 完