事故現場

20代の女性から聞いた話です。


私には結婚しているMという姉がいます。

その姉の旦那さんのSさんが霊感があるみたいなんです。


ある日の夜に食事の用意をしている時に旦那さんから姉に電話がありました。

「もしもし、Sどうしたの?」

「あぁM? そっちは何にもない?」

「え? どういう意味?」

「いや、なんか変なこととかない?」

「ないけど、何が言いたいの!?」

少しイラつきながら旦那さんに聞くと旦那さんは少し言いにくそうに

「あのさ、ちょっと前に家の近くの大通りで事故あったじゃん?」

「高校の同級生が亡くなったやつのこと?」

「そう…」


1ヶ月程前に家の近くの大通りにある交差点で事故があり、その時に同級生が車に轢かれ亡くなっていました。

朝のニュースで事故のことを見てその子と仲の良かった友人に確認したところその子で間違いないということでした。

旦那さんは事故があった日の夜に、その場所で歩行者が車に轢かれる夢を見ていたそうです。

姉はその子と仲の良かった友人を通じてその子の葬儀にも参列したそうです。


「Mの同級生ってどんな人?」

「どんな人って急に聞かれても、大して仲良くなかったしよく知らないよ。」

「そうじゃなくて髪型とかさ、茶髪だった?」

「ううん、黒髪」

「長さはセミロングくらい?」

「ううん、普通に長かった」

「そうなんだぁ…」

「それで?どういうこと?」

「あのー… 今あの大通りの交差点にいるんだけどさぁ」

「うん」

「Mと同い年くらいの女の人で茶髪のセミロングの女の人が頭から血を流してて、こっちをものすごい形相で睨んでるんだよ」

「えっ!?」

「でも関係ないみたいだから無視して帰るわ」

「…うん…わかった。気をつけてね」


その後何も起きませんでしたし、旦那さんも何事も無かったようで無事に帰ってきたそうです。


姉は旦那さんに霊感があることは知っていましたが、普段霊的な話をされたことがなかったのでこの時はかなり怖かったと言っていました。


茶髪でセミロングの女性は何者で何故睨んでいたのでしょうか。


事故現場 完

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