発光したシルエット
30代の女性から聞いた女性自身が体験した話です。
私が20代の頃に実家に住んでいた時のことです。
自室のベッドで寝ていると夜中にふと目が覚めました。
ベッドの頭側と右側が壁に面しているのですが、左側に白く発光した人型のシルエットのモノがこちらを向いて立っていました。
急に現れたそれに驚きましたが体を動かすことができず何もできませんでした。
今思えば恐らく金縛りだったんだと思います。
そいつは何をするでもなくただ立っていて、最初は驚いたもののその状況になんとなく慣れてきていつしか寝てしまいました。
それから2,3週間経った頃にまた金縛りに遭いました。
また同じ様な白く発光したシルエットが立っていました。
一度経験しているとはいえ、やはり最初は驚きました。
その白いシルエットは今回も何もするでもなくただ立っています。
この人何がしたいんだろ?
と不思議に思っていると、そのシルエットが右を向き私の頭の方向へ歩きだしたのです。
前回と違った展開に動揺しました。
え?なに?なにするの?
シルエットはなおも近づきます。
私の頭の真横の辺りまできたそのとき
シュルルル
その白いシルエットは壁の方へ吸われていくように消えていきました。
シルエットが消えると体が動くようになり、すぐに電気を点けてシルエットが消えていった壁を見ました。
そこには自転車の形をした時計が掛けてありました。
前輪部分が時計になっていて、後輪部分が鏡になっているもので、なんだか珍しくてお気に入りの時計です。
さっきの出来事を思い返してみました。
壁の中へ吸われていったように思っていましたがそうではなく鏡に吸われていったんだと気付きました。
あの鏡は私を助けてくれたのか、それとも異世界との出入り口になっていたのか、一人暮らしを始めたときに母が時計を処分してしまったのでもうわかりません。
発光したシルエット 完
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