実家の押し入れ
20代の女性から聞いた話です。
私が小学5年生くらいの時だったと思います。
私の実家は2F建ての一軒家で2Fの和室が自分の部屋でした。
その和室の押し入れが物心ついた頃から気持ち悪く、友達とかくれんぼなどをした時も絶対に隠れないし、なんなら開けたくもない程気持ち悪かったんです。
ある日の夜私は人生で初めての金縛りにあいました。
夜中にふと目が覚め、トイレが割りと近かったためトイレに行っておこうと思ったのですが体が全く動けなかったんです。
仰向けで恐怖からか爪の跡が着くほど手をギュッと握りしめていました。
初めてのことでどうしようと慌てていると、自分の足下の押し入れの方から子どもの小さな声で
「キャハハハ」
という笑い声が聞こえてきました。
目だけ動かせたので声のする方を見てみると全貌は見えず腰から下辺りだけではありましたが幼稚園から小学校低学年くらいの男の子っぽい子どもが立っていました。
子どもの声は段々大きくなり、しまいには寝ている私の周りを笑いながら駆け回り始めたんです。
恐ろしくて心の中で、助けて!やめてー!などと叫んだりもしました。
少し経つと声が少しずつ小さくなっていき最後は押し入れの中へ襖を通り抜けるようにして消えていきました。
怖さからギュッと握っていた手が動く感覚があり安心するとともに恐ろしい出来事にがむしゃらに部屋をあとにし両親の部屋へと逃げ込みました。
その日は両親と寝ましたが、2,3日後には怖い夢でも見たんだろうと自分の部屋で寝ることになりました。
それから数ヶ月経ったころです。
夜9時か10時頃だったと思います。
私は部屋で布団で寝転がり携帯をいじっていると
「うわーーー」
という父の叫び声が聞こえてきました。
直後ドタドタと廊下を走り階段を駆け降りる音が聞こえ、私もなんだか怖くなり1Fへと向かいました。
母はその時1Fのリビングでゆったりしていたようで2人がドタドタと降りてくる様子に驚いていました。
顔面蒼白の父が息を切らしながら
「トイレに女がいた。」
そう言うのです。
父曰く寝室でテレビを見ていて寝る前にトイレに行っておこうと部屋を出ました。
トイレの電気をつけドアを開けるとそこに白いワンピースで長い黒髪の女が立っていたそうです。
それに驚いて叫び1Fへと降りていったとのことでした。
恐ろしさからしばらくは誰も2Fのトイレを使うことはできませんでした。
関係あるかはわかりませんが、私の部屋の押し入れとトイレは壁を隔てて隣り合わせになっています。
それから数年後だったと思います。
とある怪談の動画を見ました。
内容は、まず目を閉じて自分の家を想像し玄関から入っていく。全てのドアや窓を開けていき、その後開けたドアや窓を閉じていき、玄関から外へ出る。もしその最中に誰か知らない人と会ったらそこには霊がいる。
そういった話でした。
興味本意でやってみようと思い目を閉じました。
まずは玄関を開けます。
するとそこには知らない中年の男性が佇んでいました。
怖くなりましたがその男性を見て見ぬふりをして玄関を上がりました。
まずは1Fです。風呂、トイレ、洋間、リビングのドアや窓を開けていきます。
リビングにある折れ戸のクローゼットを開けると女が立っていました。
父が見たのはこの人か、などと考えながら2Fへと向かいます。
両親の寝室を開け、次に自分の部屋に行きます。
そしてあの押し入れを開けると、そこにやはりというか男の子が体育座りで座っていました。
最後にトイレに行きドアを開けるとそこに白いワンピースで長い黒髪の女が立っていました。
リビングの女は別の女だったようでかなり驚きました。
結局私の実家には4人の霊がいました。
実家の押し入れ 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます