県道沿いのホテル

関東に住むMさんという20代の女性から聞いた話です。


数年前に当時お付き合いしていた男性ととある県道沿いのラブホテルに入りました。

少し前の話なので部屋番号など細かいところはよく覚えていません。

部屋に入って彼はベッドに座り、私はソファーに座ってスマホをいじっていました。

5分も経っていなかったと思います。急に彼がとても慌てた様子で

「もう出よう!!ここから出よう!!」

と慌てふためいて今にも出ていこうとするので

「わかった!わかったから!」

と言い部屋を出てロビーにカギを返し車に乗り込みました。

まだ部屋に入ったばっかりなのになぜだろうと思っていたのですが、彼がとても怖がった様子だったので訳を聞いてみました。

「何があったの?」

彼は一拍置いて言いました。

「Mは気づかなかったかもしれないけど、おかしなことがめちゃくちゃあったんだよ。」

「おかしなこと?」

「まず部屋に入った時点で何か変な雰囲気だったんだよ。それでベッドに座って辺りを見回してたら急にテレビが点いたり消えたりしだしたんだよ!」

「電源がってこと?」

「そう!パッ……パパッ…パパパッ…パッ…って感じで変なリズムで点いたり消えたりを繰り返ししてたんだよ。」

私はそういったものを信じてませんし、単純にテレビの調子の問題じゃないかとも思いました。

ですが、興奮した彼は続けて

「しかもテレビだけじゃないんだよ!音だってしてたのに気づかなかったの?!」

「音って何の音?」

「シャワーの出る音がしてたんだよ!2人とも部屋にいたのに!」

私はスマホのチャットアプリで友人とやり取りをしており、それに夢中だったのか全く気づきませんでした。

「そんな音本当にしてた?」

「してたよ!小刻みにシャッ…シャ……シャッって出てたんだよ!だからもうあんなところには居られないと思ってすぐ出たんだよ。」

彼はそう言うと黙ってしまい、私もなんとなく喋ることができずその日は送ってもらい帰宅しました。


このことが原因ではありませんが、彼とはそれからすぐ別れてしまったのでこのことについて詳しく聞けぬままになっていますが、何か見たら怖いのでそのホテルは使わないようにしています。


県道沿いのホテル 完

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