Y先生のおばあちゃん

20代の女性から聞いた話です。

私が小学生の頃に担任のY先生から、自身が同じ小学生の頃に体験したことらしいのですが、その頃にY先生の母方のおばあちゃんが亡くなったそうです。

お通夜やお葬式はおばあちゃんの家で行われ、その準備を親族みんなでしていたそうです。

おばあちゃんの家は二階建てのThe日本家屋というような建物だったそうで、大半が畳の和室で縁側もあったそうです。

皆がそれぞれ参列者に振る舞う料理や会場の掃除など準備をしていると廊下からドタドタと足音が聞こえてきました。

Y先生は会場の掃除等の準備を手伝っていたのですが、これは何の音だろうかと音のする方を見ていると、ピシャッと自分たちのいる部屋の襖が開きそこには親戚のおじさんがとても驚いたような動揺した表情で

「みんな来てくれ!大変なんだ!」

と言うのです。

その場にいた人達でどういうことなのか聞いてみると、おじさんは棺に入れるためにおばあちゃんの私物の整理をしながら思い出の品を探していると、縁側を奥に進んだ先の突き当たりにあるトイレから音が聞こえてきたんだそうです。

それを聞いた人達は、古い家だから多少音がすることもあるだろうとか気のせいじゃないのかなどと疑っていましたが、おじさんはいいから早く来てくれと譲らなかったようです。

渋々着いていこうとしていると、この騒ぎを聞き付けた台所の調理班も一緒に見に行くことになりました。

Y先生もその流れで一緒についていき縁側を歩いていると向こうから小さくギシ…ギシ…という音が聞こえてきたそうです。

なんの音だろう?

そんなことを考えながらトイレの近くまでくるとギシギシギシギシとトイレから音が聞こえてきて、Y先生は恐怖し周りの大人を見ると、大人たちは口々に

「おばあちゃんだ。」

「おばあちゃんがいるね。」

と涙目になりながら言うのですがY先生にはなんのことだかさっぱり分かりませんでした。

え?どういうこと?みんな何を言ってるの?と困惑していると、ギシギシという音が止んで一瞬間が空いたあと

カチャ ギー

とトイレのドアがひとりでに開いたのです。

勿論中には誰もいません。

しかしトイレの中から温かくてとても気持ちいい風のようなものがY先生を包み、おばあちゃんの

「元気に健やかに育つのよ」

という声が聞こえた気がして、Y先生は思わず泣いてしまったとのことでした。

「最後に会えて良かったね。」

「不思議なこともあるもんだね。」

等と皆で話し部屋に戻ると、ちゃんと立てて置いてあったはずのおばあちゃんの遺影が倒れて置いてあったそうです。


Y先生のおばあちゃん 完

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