祖父母の贈り物

20代のMさんという女性から聞いた話です。

私が産まれた時の出産祝いと健康に育つことを願って、父方の祖父母から日本人形が贈られたそうです。

その日本人形は赤い着物を着た女性で一つ縛りの髪型に真っ白い顔をしているものでした。

元々自分が産まれた時から家にあるものなので特段怖いとかそういった感覚はありませんでした。


私が中学1年生か2年生の時でした。

自分の部屋が2Fにあったのですが、1Fにある和室の畳の上で寝転がって過ごすのが好きでよく漫画を読んだりしながらゴロゴロしていました。

その和室にあるタンスの上に件の日本人形が硝子のケースに入って置いてあったんです。

ある日の夕方頃だったと思います。仰向けで寝転がってボーッとしていると少し眠たくなってきて、ウトウトとし始めました。

すると私の視界の右端にあるタンスの前に白い人のシルエットのようなものが見えました。

全身は見えませんでしたが、明らかに人のシルエットでした。

それにそのシルエットは平たいと言いますか薄っぺらいと言いますかそんな形状だったんです。

そのシルエットは足音も立てず、また歩くような動きもせず、それなのに徐々にこちらに近づいて来ているんです。

近づいてくるにつれて、角度的によく見えなかったそれの顔がだんだん見えてきました。

その顔はあの日本人形の顔だったんです。

それはどんどんこちらに近づいてきます。

私は心の中で、助けて!ごめんなさい!と何度も必死に叫びますがそれでもどんどんと近づいて来ます。

そしてそれは私の頭のすぐ横まで来ると、ゆっくりと私の顔を覗き込もうとしました。

徐々にそれの顔がこちらに向き、目を合わせそうになったところで恐怖からか意識を失ってしまいました。

今は大学の進学を期に一人暮らしをしていますが、母からは結婚するとき持っていけと言われています…

多分置いていきます。


祖父母の贈り物 完

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