魔物合成術師さんと賢者の家
「じゃあコレどうぞ」
何これ?手のひらサイズの青い石にはSと大きく刻まれている。
「マグネットワーパーです、ボク方向音痴で自分の家へ帰ろうとすると帰れないので昔知り合いに作って貰ったんです。どんな場所からでも帰れるので滅茶苦茶便利で重宝してるんですが重宝しすぎて家までの帰り道が分からなくなってしまって……」
申し訳無さそうに賢者さんはそう話す。
ってかヤバいな。自分の家の帰り道忘れるか?とんでもないおバカかな?いやでもどうだろ。ただ天然なだけかもしれない
「Sの下にボタンがあると思うのでそのボタンを押せばボクの家に戻れます。それじゃあ行きましょう」
どう言う理屈でどう言う訳なのか全く分からないけど行かなきゃいけないらしい。
早く押せよって顔で見られているのでボタンを押すとまるで引き寄せられてるかの様に体が引っ張られるううううう
「強力な磁石なので電源が入ると引き付けるんです。その力を強くした結果ワープ並みに速くなったからそう名付けたと開発者はドヤ顔で語ってました」
隣で何でも無さそうな感じで賢者さんは喋っている。
おかしくない?何でだよ……風めっちゃ強くて痛いんだけど慣れ?慣れで何とかなるのか?やっぱり人間辞めてるんだろうなぁ小さいのに大変だ
『普通の人間は果実を爆発させたり激臭マンドラゴラで巨大蝙蝠を瀕死まで追い詰めませんよ』
そんな人いるんだ?恐ろしい関わりたくないわ
……?何で知ってんの!?
『貴方のサポーターとして何が出来て何が出来ないか細かく知っておかなきゃいけないのでその魔物型のカメラの記録を少々。文明の発達は凄いですね』
そっか。じゃあしょうがないか……俺のプライバシーは無いのかそっか
「着きました、此処がボクの家です。どうぞ」
一般的なと言うかまんま豆腐みたいな家のドアが開くと中には本棚だらけだった。
「なんか飲み物持ってきます」
そう言うとキッチンらしき場所へ消えていったので俺は近くにあったテーブルの横の椅子に座った。後で磁石は返そうと一旦ポケットにしまった。
「はいどうぞっお待たせしました!」
何故かテンションが高くなって賢者さんは戻ってきた。何で?
コトッと近くに置かれたコップの中には白い液体が入っているんだが…
気のせいか?なんかちっちゃい粉が浮いてる様な
『ふむ、怪しいですね。コケさんちょっと舐めてみてください。案外イケるかも』
誰がコケさんだ!嫌だよ、何でそんな訳分からない物を舐めなきゃいけないんだ。そんな珍味感覚で白い粉進めんな
『剣のグリップを掴んで貰えれば私と感覚が共有出来ます。そしたら私が解析しますから。分かったらワンペロして下さい』
えっ…嫌だ。もしそれで即死の毒だったら終わりじゃん。死んでから分かっても遅いんだよ……解析するよりも先に俺がリアルタイムで分かるだろ
『その時はその時です。グッジョブ( ^ω^ )b』
顔文字腹立つな……分かった。もし俺がなんかアレしたらアレしてくれ
『了解です』
じゃあ覚悟を決めて飲むか。なんかジッと見られてるし……俺は恐る恐る口をつけた。
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