魔物合成術師さんの初配信《強制終了》
やったか?
そう思いながら、煙が晴れるまでの間荷物のチェックをする。うーん使えそうな物って言うか、探してもマンドラゴラの球根ぐらいしか見当たらない。
『がうぅぅ……』
ウルスラが小さく鳴いた。
やがて煙は晴れ、黒く大きな翼で身を隠した蝙蝠の姿が出て来た。傷は無さそうだ。だが姿は見えてないだろう、俺はそう思い蝙蝠の後ろを通り抜け、出口に向かって走った。
後もう少しで出口に着く所で、何かが捕まる音がした。後ろを振り返ると、相棒が捕まっていた。
思わず足が止まってしまった、助けないと。だがどうすれば……
それが顔に出ていたのだろう、ウルスラは俺の方を見て『がううっ!』と大きく吠えた。まるで早く行けと言うかのように。
『マッテロニンゲン。スグにコイツをクッタラ次はオマエダ……クソジャマをスルナァ!』
相棒は、蝙蝠の翼に齧り付いて暴れている。俺はその隙に、ダンジョンから逃げ出した。
ダンジョンの魔物は、基本的に外に出ることは無い。だから普通は勝てる見込みが無いダンジョンへは、装備を固めたりレベルを上げたりしてまた挑むのが定石だ。
でも俺はそんな事をしてる時間は無い。ダンジョンから戻ったその足でギルドへ向かい、俺は学校から腐れ縁の幼なじみの受付嬢を呼んだ。
「何ですか、お金はもう貸しませんよ?それとも、体で払う気になりました?」
俺とは目を合わせず、そう言う。いや体で払うと言う時だけ、目じゃなくて体に集点を合わせた。流石ヘンタイだ。
「そ、そこを何とかしてくれないか?明日の朝ご飯を買う金すら無いんだ」
朝ご飯爆発しちゃったからな。
「はぁ……自業自得でしょう、良いですか?私が貴方に対していつまでも甘いと思ったら間違いですからね?所であの子はどうしたんですか?」
「あの子?」
「ほらフワフワの毛のスライムちゃんですよ。一緒じゃないんですか?」
頬を赤らめながら、手をワキワキさせるなヘンタイ。
「そのウルスラを助ける為に金が必要なんだ。貸してくれ」
「助ける?どう言う事ですか?詳しく話してください」
「成程分かりました。たまたま行ったダンジョンの宝箱の中から蝙蝠が出てきて、ウルスラちゃんに救われた貴方は泣きながらその場から逃げ出したんですね」
泣いてないけどな、まあそんな感じ。
「所で気になってるんですけどソレいつまで撮ってるんですか?」
へ?あっ!も、もしかしてずっと敬語なのも……。
道理で変だと思ったんだよなぁ。そんなに嫌われたのかと思ったよ、俺はそう思いながらトサカをもう一度押す。するとコケ男の目の光が消える。
「切りました?」
ああ、切ったよ。
「じゃあ取り敢えずはい、コレ」
そう言って袋を渡された。これって金?いやでもこんなには。
「安心して、ソレは経費で落とせるから。ギルドと契約してる冒険者の仲間が命の危険に晒されてるのに、出来る事をしなければ色々言われるでしょ?後近くの冒険者に依頼を出しとくから、報酬として帰ったらあの子を撫でさせて」
ありがとう、絶対に連れて帰る。
「学校の時から変わらないから良いよ、これくらい。後は、そうだ!これ渡す様に言われたんだった。はいこれ」
渡されたのは2つのリングォだった、何で?
「リングォ屋のおばさん怒ってたよ?リングォ一つ買うのに何時間もかけるなって」
最高の朝飯にしたくて……。
リングォを受け取った俺は、マジックボックスが空っぽだったので素材屋さんへ向かう事にした。
《コメント欄》
・逃げたwwww
・逃げるなwwwwww
・ってか宝箱からデカい蝙蝠が出る事ってあるのか?
・情報には出てないけどあるんじゃね
《情弱な賢者》ボクが調べた中ではありませんと言うかあのデカい蝙蝠キングバットって言うらしいです。
・ふぁ!?
・賢者様ホンモノ?
『タイトル無し』
閲覧数15
高評価1
低評価1
コメント7
投稿者名『コケ男』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます