第24話

 それからしばらくして、僕達のいる喫茶店に宮西が来た。


 見た感じ、なにをいわれるのかはわかっていないみたいで、僕から誘われたのが嬉しいと思っているようだ。

 けどごめん。今日の話はそういうのじゃないんだよ。


「……あれ、なんで朝神さんと京極くんがいるの?」


 喫茶店に入ってきて、僕と一緒にいる人達の顔を見て、宮西が明らかに動揺する。


 ……こんな反応を見たら確定なんだな、って思うしかないじゃないか。


「……宮西、自分でもわかってるんじゃないのか??」


 まだ、少し期待してる。まだ、少しは信じてる。本当のことを言ってくれるんじゃないのかなって思ってる。


 そんな期待を込めて問いかけてみたけど――


「なに、なんで裏切り者と一緒にいるの?」


 そんな期待でさえも、打ち砕かれてしまうんだ。


「……まぁいいや。ほら、早く座ってくれよ。話があるから」


 宮西を四人がけの席の誰も座っていないところに誘導する。


「で、話ってなに……?」


 ……この事を言ったら、関係がどうなるかわからない。もしかしたら、宮西が本当のことを言ってるのかもしれない。


 僕のこの選択も、実はこの二人にうまい具合にそそのかされてるだけなのかもしれない。


 けど、そんなの誰にだってわからないんだ。


 もう決めたから。僕は、このことを宮西に聞かない限りは、前に進めない。


 隠して友達としていたとて、絶対いつかボロが出る。心無い言葉を浴びせてしまうかもしれない。


 信用できてないから、信用できないから。


 もう一度信用できるようにするにはどうすればいいのか、そう考えた結果がこれなんだ。


 宮西が、ちゃんと認めてくれたら、友達としてこの先も――。


 それに、舞にだって迷惑をかけていることになるしね。


 いきなり冤罪で僕から心無い言葉を浴びせられて。いきなり自分が浮気者認定されて。


 考えたらどれだけ辛かったのだろうか。謝罪しなければならない。


 けど、今は。僕が、事実を確認して、舞に心から謝罪するためにも。



「なぁ、宮西。舞は、本当は浮気してなかったんだろ?」



 勇気を出す。一歩踏み出す。場が、静まる。


 長い間、沈黙が続く。宮西は俯いていて。もうその姿は、自分がやったことを認めているようで。


 そして、その沈黙を破ったのは、宮西でもない。僕でもない。舞だった。


「ねぇ、宮西さん。私は、今はあなたの話を聞くつもりだよ? 私は、怒るつもりは――今は、ない。全部の話を聞いてからじゃないとわからないし、蒼の意見を尊重したい」


「…………」


 舞はあくまでも、本人の口から全部を話してほしいって思ってるみたいだ。


 絶対、内心では怒ってる。やってもないことを仕立て上げられて。


 でも、それ以上に話を聞きたいんだろうなぁ。だったら僕が、本音を引き出してあげないといけない。


「宮西。僕にも、話せないことなのか? 僕を、僕を――裏切るのか?」


 この言葉を聞いた宮西はハッとした表情になる。自分がなにをしているのか……。それをようやく自覚したみたいに。


「……私は、私は。私は、蒼くんのことが欲しかったの」







 ________








 受験合格!いえやぁ!!


 上のコース!!いえやぁ!!


 あんなに受験直前に更新しまくってもいけます!!いえーい!!


 みなさん、読んでくれてありがとー!!

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