第23話
改めて考えてみたら、一回違和感を覚えたことはあったんだ。
写真を取るのが上手い。それは俺からみてもわかる。画角がきれいというか、構図がすごいというか。
けど、だからといって僕と宮西がカップルに見えるのはなにかおかしくないか……?
たしかにそういうふうにとってるのかもしれない。けど、毎回毎回……。そういう技術があるんだろう、で納得してた。
そんな技術があってもいいだろうよ、って思ってた。
けど……、それを悪用するのはいただけない。絶対に良くないことだ。
「そう……だよね。私もその話聞いたことあって。だから今回、こういう実験ができたんだよね」
もう、僕の心のなかに朝神―だからいや、舞に対する負の感情は殆ど残っていない。
「そうか……。けど、本当に宮西は俺達を引き剥がすためにそんな写真を撮ったのか?」
舞に対する負の感情も残っていない。けど、それと同時に宮西への負の感情が生まれてきたわけではなくて。
まだ、信用していたい気持ちがある。まだ、親友としていたい気持ちがある。
「けど、そうじゃなかったら俺達の写真を撮る必要も、見せる必要もなくないか?」
京極が至極真っ当な意見をいう。たしかにその通りなんだ。
もしも本当に手をつないでいなかったのなら、宮西は絶対にその事がわかっているはずなんだ。
なら、僕達を引き剥がす目的がないのであれば僕にその写真を見せる必要がないことは誰にだってわかる。
「たしかになぁ……! けど、けど……」
けど。僕は宮西のことだって信じたい。本当はそんなことをしていなかったんだって信じたい。
全く僕達を引き剥がす意図はなく、そもそもあの写真自体、僕の幻覚であってほしい。
「わかるよ。仲良かった、自分の偽恋人がいなくなってからを支えてくれた人のことをまだ信用してたいんだよね」
……そのとおりなんだ。僕は弱い。昔いじめられてたから大概のことじゃない限りはダメージを喰らわない――そう思ってただけで。
実際はやっぱり他の人といないと生きていけない弱い人間なんだ。
……あれ、京極が怪訝そうな顔をしてる。
「……偽、だったのか!?」
……あっ。そう言えば京極にはこのこと伝えてなかったのか。
まぁいいか。僕たちの過去の関係、京極だけにバレるなら。
「まぁ……ね、舞が言ってることも、京極の疑問にもイエスだよ。本当さ、僕はどうすりゃいいんだろ。……宮西に聞いたら正直に答えてくれるかな?」
本心では、答えてくれる気がしないんだ。
多分、本当に手を繋いでたって言うんだろうな。うん、舞が嘘をついてるっていうんだろうな。
答えてほしい。本当のことを言ってほしい。僕はもう、舞と京極の言っていることが本当のことにしか聞こえなくなってるんだよ……!
「……けど、とりあえず聞いてみないことにはなにも始まらないんじゃない?」
「そうだぞ、ここで日和って今まで通りの関係を続けたところで、結局いつか崩壊するだけだ。それに――」
「そう!! 私がもう絡みに行くからねっ!」
……二人が背中を押してくれる。こんなにエールをもらったんだったら――
「わかった。聞いてみることにするよ」
僕も一歩、踏みだしてみるしかないよな。
_________
受験終わりましたよ!!
やったぁ!!またあと1ヶ月後だぁ!!()
#受験からの逃避行継続
#限界受験生
#入試終わり
#入試終わり(2つ目の意味)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます