第20話

 親友。だろ。親友。まだ――まだ僕のことを苦しめる気なのか君たちは。僕が、どれだけ苦しんで来たと思ってるのか。


 だからやめてくれ。やめてくれよ。


 西――。







 ________







 あいも変わらず。僕は学校で宮西と二人。二人でも楽しいからね。うん。少なくとも中学校の時よりは。


「でさ、ほらほら」


 今話題の猫ミームについて話してくる宮西。その1つを見せるだけでも距離が近いんだけど。


 クラスのみんなは、わいわいがやがや話している。


 ――僕達を除いてだけど。


 いや、正確に言えば僕を除いて、って言えばいいかな。


 宮西はちょっとクラスメイトとコミュニケーションを取っている。うん。


 やっぱりこういうところでコミュ力が出るんだなぁって思いつつ。


 はっ。だからなんだ。もともとに戻っただけじゃん、そうだよな。




 ――って思ってたんですがねぇ。



「なぁ、八神。ちょっと話したいことあるんだけどいいか??」


 僕に話しかけてきたのは京極。朝神の浮気相手。


 どの面下げて僕に話しかけてきたんだろうか。なにを言ってるんだこいつは。


「……なんだ」


 けどそんな内心をここで吐露したところで僕にいいことがあるわけじゃないしね。


 友好的に。敵を作らず。


「放課後、時間とってくれないか」


「……はぁ」


「じゃあ集合場所は連絡するから」


 さすが陽キャ。持ち前のコミュ力で僕に決定権を与えずに話したい内容だけ話でさっさと去っていってしまった。


 めんどくさ。今更あいつがなんの用なんだろうなぁ……。


 大方朝神関連なんだろうけど。けどわざわざ僕に話すようなこと……。


 うん、そんなことはないだろう。


 ……というか。京極の連絡先ブロックしてしまってたな。解除しとかないと。


「なに話してたの?」


 ちょっと離れた場所でクラスメイトと話していた宮西が話しかけてくる。


「うんまぁ……。今日の放課後は一緒に帰れなくなった」


「そっかぁ……。まぁメッセージで話そうね」


 こういうことをさらっと言ってくれるところがいい人なんだ。


 親友としては好きだ。ものすごく。


「うん、またこの話の内容も話すことにするよ」


「了解っ!!」


 はぁ……。放課後か。最近は宮西とばっかり帰ってたからなぁ。


 どんなふうに他の人と話せばいいのか。


 ……憂鬱だ。ちょっと前まで仲が良かった人との関わり方でさえも、よくわからない。


「ほら、そんなに暗い顔しないほうがいいよ」


「……そだね」


 宮西に心配させてしまってることでさえも、僕にとっては辛いことだ。


 はぁ。この憂鬱な気持ちは、いつまで経っても消えることはないんだろうなぁ……。








 ________






 #限界受験生


 3日連続更新です。受験からの逃避行継続。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る