第21話
『近くの喫茶店とかでいいか……?』
京極から連絡が来た。たしかに放課後に連絡するとはいってたけど。すぐだったな。
とはいえこっちから特に指定したい場所があるわけでもないから、そこでいい。
『りょうかい』
僕は宮西に別れを告げて、一人でそそくさ学校から出ていく。
本当に。どうしようか。僕から話せることなんてなにもないからなぁ。
それよりも、問い詰められたときにどういうふうに返事をするか、っていうのを考えておいたほうがいいか。
なにいわれるかわかったもんじゃない。だって浮気――少なくともクラスメイト視点からは――するようなやつだから。
朝神も、共犯になっちゃうかも知れない。
……まぁ、今日の話に朝神が来るなんて話は全く聞いてないからそんなことないとおもうけど。
っていう甘い考えをしてる時点で僕はまだまだなんだろうね。
「八神くん、どうしても話したいことがあって来ました。隠しててごめんなさい」
朝神舞と八神蒼、久方ぶりの会話――。
________
「それで? なんの用? 私達はこんなに幸せです、って煽るためか?」
僕の目の前に、朝神と京極がいる。変な感じだ。もうかかわらないようにするって決めたはずなのに。
「違うっ……! 私達は!!」
「朝神さん……。まずは説明しないと」
僕の眼の前で二人がイチャイチャしている。やっぱり見せつけるためだったか……。
まじで帰ってやろうかな。僕がいても意味ないんじゃないの……?
「そうだね……。ねぇ、蒼。蒼は、宮西さんから私達が手をつないで歩いてるっていう写真を見せられたんだよね?」
「……うん」
まだ下の名前で呼ぶんだな、朝神は。
「その写真、ちゃんと確認した……?」
うん……? こいつは何が言いたいんだ?
僕が、写真のフェイクを見つけられなかったとでも言いたいのか……?
それとも自分たちのしたことをどうにか嘘だと認識させたいだけ……?
どっちにしろ話をもっと聞かないと進まないか。
「したつもりだけど……?」
「そうか……。なぁ、八神。宮西の趣味って、写真を取ること、だったよな?」
京極がなにかを考えながら僕に問いかける。
「そうだが」
……そんなことを聞いて何になる?
写真を取ることと、お前たちが疑ってるフェイクの写真を作ること。そこに関係性はなにもないはずだが。
「ねぇ、私達が考えてるだけなんだけどさ、その写真――多分ほんとは手を繋いでないよ?」
「……どういうことだ?」
ほんとは、手を繋いでない? そんなことはありえなくないか? だって僕が見た写真ではたしかに手を繋いでた。
加工したような感じもなかった。
だったら手を繋いでるように見せるなんてそんなことできるわけないんじゃないのか……?
「疑問に思うよねぇ……。京極くん、私達が実験したこと、見せてあげよう?」
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