第17話

「はい、チーズ」


 僕は今、宮西と写真を取っている。なんでこんな事になったのだろうか。自分でもよくわかっていないんだけど、確実にさっきの発言が一因ではある。







 _______






「ねぇ……? 蒼くんは何か趣味とかってあるの?」


 歩き始めて少しして。宮西が僕に訪ねてきた。


 やっぱりここでも最初に沈黙を破るのは宮西か。正直ありがたい。


「うーんとね。まぁあることはあるんだけど……。人にはあんまり……」


 僕は申し訳無さそうに話す。本当にこれは話せないことなんだ。


 話してしまったら宮西の僕に対する印象が180度変わってしまうだろう。


 もちろん、他の人にとっても。


「そうなんだ……わたしはさ、写真取るのが得意なんだ?」


 彼女は、僕みたいに隠さずに。正直に自分の得意なことを話してくれた。


「そうか……写真、見てみたいかも」


 だからこそ、単純に興味が湧いたのだ。


「じゃあさ……一緒に写真、取ってみる?」







 _______







 そして今こうなっている。正直恥ずかしい。


 即座に写真を撮るとは思ってなかったんだ。後で送ってもらえばいいやって。


 1回送られてきたやつは写真に入らないから。あれはただの汚物だ。


「ほら蒼くん、恥ずかしがらないで?」


 更に顔を近づけてくる宮西。まるでこの距離感はカップルのそれで。


 少し動いてしまえばお互いの顔と顔が当たってしまいそうだ。


「行くよー!」


 その言葉と同時に、パシャパシャと3回シャッター音がなる。


「どんな感じにできたんだ?」


 自分が見たかったものが出来たので、早く見たいという気持ちを抑えて宮西に聞く。


「うーん。今送るね」


 送られてきた写真は、自分が思っていたよりもだいぶビジュよく写っていて。


 隣りにいる宮西に対しても少しは近づけたのでは……!? と思うほどに顔が良く写っていた。


 なるほど、これが写真の効果ですか。素晴らしい。


「いい感じだな」


「でしょ!? だから写真取るのうまいって言ってたんだよ!」


 その言葉に嘘偽りはまったくなかったようだ。


 今日は悪い日だったけど。一つ、帰り道にいい思い出ができたのかもしれないな。







 _____________








 もしかしたら失敗だったかもしれない。私が写真取るのうまいってことをバラしちゃったら。


 蒼くんが真相に気づいてしまうかもしれない。


 私が悪いって。いや――バレないと思う。絶対にバレないと思うんだけど、もしかしたらそんな事があるかもしれない。


 それがバレたら――どうなるかわからない。


 蒼くんはまだ優しいからいいのかもしれないけど、朝神。あいつはほんっとに私嫌いなんだ。


 けどあいつのほうが人望があって。勝負になったら勝ち目がない。


 けど一目惚れってこういうものだよね。


 うん。きっとそうだ。だから私は悪くない。彼が欲しかっただけだから。







 _________








あらまぁ………


今日はクリスマスらしいですね! 僕にとってはなんの関係もない! イエイ!


ですが……星を……クリスマスボッチな皆様の星を……くださると……嬉しゅうございます……

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