第17話
「はい、チーズ」
僕は今、宮西と写真を取っている。なんでこんな事になったのだろうか。自分でもよくわかっていないんだけど、確実にさっきの発言が一因ではある。
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「ねぇ……? 蒼くんは何か趣味とかってあるの?」
歩き始めて少しして。宮西が僕に訪ねてきた。
やっぱりここでも最初に沈黙を破るのは宮西か。正直ありがたい。
「うーんとね。まぁあることはあるんだけど……。人にはあんまり……」
僕は申し訳無さそうに話す。本当にこれは話せないことなんだ。
話してしまったら宮西の僕に対する印象が180度変わってしまうだろう。
もちろん、他の人にとっても。
「そうなんだ……わたしはさ、写真取るのが得意なんだ?」
彼女は、僕みたいに隠さずに。正直に自分の得意なことを話してくれた。
「そうか……写真、見てみたいかも」
だからこそ、単純に興味が湧いたのだ。
「じゃあさ……一緒に写真、取ってみる?」
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そして今こうなっている。正直恥ずかしい。
即座に写真を撮るとは思ってなかったんだ。後で送ってもらえばいいやって。
1回送られてきたやつは写真に入らないから。あれはただの汚物だ。
「ほら蒼くん、恥ずかしがらないで?」
更に顔を近づけてくる宮西。まるでこの距離感はカップルのそれで。
少し動いてしまえばお互いの顔と顔が当たってしまいそうだ。
「行くよー!」
その言葉と同時に、パシャパシャと3回シャッター音がなる。
「どんな感じにできたんだ?」
自分が見たかったものが出来たので、早く見たいという気持ちを抑えて宮西に聞く。
「うーん。今送るね」
送られてきた写真は、自分が思っていたよりもだいぶビジュよく写っていて。
隣りにいる宮西に対しても少しは近づけたのでは……!? と思うほどに顔が良く写っていた。
なるほど、これが写真の効果ですか。素晴らしい。
「いい感じだな」
「でしょ!? だから写真取るのうまいって言ってたんだよ!」
その言葉に嘘偽りはまったくなかったようだ。
今日は悪い日だったけど。一つ、帰り道にいい思い出ができたのかもしれないな。
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もしかしたら失敗だったかもしれない。私が写真取るのうまいってことをバラしちゃったら。
蒼くんが真相に気づいてしまうかもしれない。
私が悪いって。いや――バレないと思う。絶対にバレないと思うんだけど、もしかしたらそんな事があるかもしれない。
それがバレたら――どうなるかわからない。
蒼くんはまだ優しいからいいのかもしれないけど、朝神。あいつはほんっとに私嫌いなんだ。
けどあいつのほうが人望があって。勝負になったら勝ち目がない。
けど一目惚れってこういうものだよね。
うん。きっとそうだ。だから私は悪くない。彼が欲しかっただけだから。
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あらまぁ………
今日はクリスマスらしいですね! 僕にとってはなんの関係もない! イエイ!
ですが……星を……クリスマスボッチな皆様の星を……くださると……嬉しゅうございます……
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