第16話

「蒼くん。一緒に帰らない?」


 今日は辛かった。今までは朝神といっしょにお弁当を食べて。朝神といっしょに休み時間を過ごして。


 けど今日はそんなことを1つもしなかった。


 宮西と二人でいた休み時間。

 一人で食べたお昼ご飯。

 クラスのみんなからの視線もどこかおかしいものになっている。


 まぁいいや。中2時代に戻っただけ。そうだ。なにもしんどいことはない。


 けど――


「いいよ、帰ろう」


 ――人と絡むくらいは、許してくれてもいいよね。






 ____________







 宮西と二人で家路を歩く。なにげに二人で学校以外で歩くのはこれが初めてかもしれない。


 だからこそ、結構気まずい。


 だって僕がコミュ力あるわけでもないし。

 宮西はコミュ力――僕よりはあるんだろうけど、それでもすごくあるのか? って言われたらそこまでだし。


 しばらくして。こんな気まずい空気を打破するきっかけを作ってくれたのは宮西だった。


「ねぇ。蒼くんはさ、今回のこと、どう思ってるの……? あ、答えにくかったら流してくれていいから!」


 わかってる。今回のことは、宮西が僕に教えてくれた。


 だから彼女も当事者の一人。いろいろと教えてあげるべきなんだと思う。


 まぁ昨日話し合いは終わったし。気持ちの整理は――そこそこ付いてる。


「うーん。まぁさ、仕方ないかなって」


 僕は思わず本音を漏らす。


「仕方、ない……?」


「うん。もちろん宮西から証拠が送られてきたときは驚いたし、怒ったけど。よく考えてみたらそもそも僕が朝神なんかと付き合えてたことがおかしいんじゃないのかなって」


「………」


「そう、だってあんなに人気者の朝神とそこまでクラスの中に友だちがいるわけでもない僕だよ? そもそもカースト――っていう言葉を使いたくはないけどカーストが違うじゃん?」


「それはっ……! ……」


「ほら、否定できないでしょ? こういうことなんだよ。だからカースト上位にいる京極の方に気持ちが傾くのは必然のことだったんじゃないのかなって」


 まーた僕の目から涙がこぼれてくる。もう気持ちの整理はついたはずだろ?


「だから気にしないで? ほら、帰るんでしょ?」


 気持ちを奮い立たせて。


 宮西と一緒に歩く。


 僕は勝たないと。あんな奴らに。負けるなんてだめだ。だって僕は被害者なんだから。


 いくら偽とはいえ。

 1ヶ月、仲良くしていた。

 友達を超えていた自信があった。


 ほら、こんな思い出ですら捨てないといけない日が来るなんてね。


 仕方がない。されたことは取り返せない。

 やり返そうなんて思ってるわけじゃないから。


 とにかく波風立てずに平穏にすごせればいいな。







 _________






 ふふっ。ぜーんぜん気づいてない。


 このまんま行ったら私の計画通りに進行してくれそう。まさか本当に裏切られたって思うなんて。


 ちゃんと写真を見ないからこうなるんだよ……


 申し訳ないとは思ってるけど、好きだから。


 このまんま私に依存させてやる、蒼くん。


 ね? 私が悪いわけじゃないんだよ。偶然あんな写真が取れてしまったから。


 偶然を恨んでくれたら嬉しいな。






_________







宮西怖い



あっ短編のリンク、貼ることにします。


明日からは涙……できるであろう話になっていきますので!


https://kakuyomu.jp/works/16817330668137853008


こちらです。

どうかよろしくお願い致します。

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