第14話

「……信用できないんだよ!」


「……へ?」


「僕さ、前に話さなかったっけ? 中学の時にいじめられて。自分に非があるならわかるけど、そんなのなくて。だから、もう人のこと信じられないんだよね」


最後に、自嘲気味に僕の過去のことを話す。今まで――1ヶ月くらいだったけど仲良くしてくれた朝神に教えてあげないと。


はァ……。これだからやっぱり人のことは信用しちゃだめだったんだねぇ……。


「だからさ。人間不信なんだよ。そんなに否定されたって、信じられないんだ。写真を捏造するなんて難易度高いでしょ? それに多分捏造じゃなかったし」


「…………」


「ね、だからもういいかな? 僕から提案して悪かったけど。――偽カップル、辞めにしない?」


「…………」


僕が悪かった――とは思ってない。だって浮気より悪いことはないから。


もういいよね。僕は十分頑張ったと思うんだ。


「じゃあね。今までありがとう。。これからは隣人としてよろしくお願いします」


これで言いたいことは言い終わった――はず。


それなのに、それなのに。


 涙がこぼれてくるのはなんでなんだろうなぁ……。







_____






ありえない。私が浮気? そんなのするわけない。


というか偽じゃない。なんでそんなにキレてるの? それにそもそも――本当に手なんか繋いでない。


けどならどこで? いつ? なんで宮西が? あいつ……もともと私は嫌いだったけど。


だから私達を……嵌めた? そもそもそうか。蒼にボディタッチが多いのも変だと思ってたの。


こういうこと? 私達を嵌めて、仲良さそうな写真を隠し撮りして。


はぁ……! これだから人間のことは信用できないんだよ!


……あれ? なんで私は蒼と別れることが嫌だったんだろう? 何をしてるの?


そんなに? 私達偽だよね?


だったらそんなふうに思う資格ってないはずじゃ……


あれ、もしかして私――


いや、そんなことはないよ。あるはずがない。だってあんなに陰キャだったんだよ?


最近は違うけど。私の彼氏としてふさわしく――いや、こういう考えをしてるからいけないの?


まぁいいや。とにかくあいつのことを調べないと。


私の幸せだった日々を奪おうとしてる宮西を私は絶対に許さない。


コラ画像じゃないにせよなんにせよ。こんなことは事実無根だ。


――待っててね。蒼。






_____






翌朝。僕は一人で学校に行く。


なんか隣に人がいないってさみしいものがあるんだね。中学校のときに戻ったみたいで辛いんだけど。


あ、あと京極――あいつはもうブロックしておいたんだ。


クラスの中心人物に喧嘩売ってるみたいになるかもしれないけど。いいんだよ。もう一回こういうのは経験してるから。


あー。けど。ほんとに憂鬱だね。僕のクラスに人がする所業とは思えないことをした奴らが二人もいるんだから。


ま、いいか。アイツラと関係を切る――それすなわち覚悟はしてるってことだしさ。


いいんだよ。宮西、あいつだって多分クラスの空気に耐えきれずに僕に近づいてこなくなるんだろ?


それでいいんだよ。こんな惨めな僕にざまぁを。


そしてもしも願いが叶うならば――




――このことが、嘘でありますように――。





______






舞さん!? あなた裏切ってないんですか!?

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