第3話
僕の目の前の女の子がヤンキーになってしまった少し後。
あのあとも舞はなんかいつもとは違う変な感じだったけど、そんなの気にしない。
気にしても無駄だからね。人は見た目と違う、外見と内面は真反対、表と裏があるっていうのも痛い目を見るほどに学んできたから。
そう、それこそ中学の時みたいに。
「というかだよ!! ねぇ? 蒼! 何なのあの自己紹介は! 友達作ろうっていう気あるの? ないよね?」
僕がちょっぴりネガティブな回想に入ってると、舞が話しかけてきた。
というかそんなにテンション高く話しかけられても……。僕はそのノリに合わせられる人種じゃないんだけどなぁ……。
「なにって言われても……。別に友達がほしい訳でもないからね……。たしかにいたほうがいいんだろうけど」
だって舞がいるしね、なんて言えるわけない。言ったら恥ずかしくて顔から火が出そう。
というかもう顔が赤くなってる説あるよ? どうしてくれるんだ。八神蒼よ。
「ねぇ。まさか私がいるからなんて思ってないよね?」
「ガハッ……」
図星をつかれてしまった僕は、思わずむせてしまった。いや、まさかバレるとは思ってない。
――顔か。うらめしや。
「お? その反応は図星だね?? うりうり、さっさと認めな〜〜?」
「違うから!! ……断じて!」
なんか子供みたいな追求の仕方だな。まるで――まるで、好きな子に意地悪する小学生みたいなさ……。
いや、そんなわけないんだけどね? わかってるんだけどね?
期待もしてないし。舞とは友達。だって舞がもし! もしも!! 彼女になったのなら。ないけど! そんなこと。
けどもしあったらさ。僕に――友達いなくなるじゃん。
「あーあ。そんなんだったら私、夜ご飯作るのやめよっかなぁ……」
「申し訳ございませんでした。僕が悪かったのです。どうか許していただきたく」
「やっぱりね。わたしの勘に嘘はないんだよ」
( ゚д゚)ハッ! ……またやられた……。僕、本当に弱いんだ、特にご飯のことになると。
もうすでに半依存状態になってるのが原因っていうのはわかってるんだけどさ?
いやぁ……男子高校生、それも1年生の人一人暮らししてすぐの奴に自炊しろなんて無理な話だよねぇ……
「で? 蒼さんよ。友達の作り方、教えてあげようか?」
なんとも魅力的な提案が来た。いいのか。こんな甘い提案に乗っても。
もう甘すぎてはちみつ垂れてるぞ? プーさんがよってきちまう。
そういえば僕の中学校のクラスメイトだった人がプーさんって呼ばれて怒ってたな。どこが悪いんだか。可愛いだろ。プーさん。
……男だからか。男がプーさんって呼ばれたら可愛いイメージがして嫌なのか。けどプーさんって男じゃね? ……くまに男も女もないか。
まぁいい。誘いに乗ろう。
「……は、はい。よろしくお願いします……」
「ふふん! まずはね――人に話しかけること!」
と、堂々とそのでかい胸をはって答える舞。
……はい。そんなことは誰だってわかってるよ。けどできないから困ってるんだが?
はぁ……。これだから多少コミュ力があるやつは嫌なんだ。陰キャの気持ちなんてすこしもわかってない。
「なぁ舞。一個教えてやるよ」
「うん? この私の完璧すぎる案に何か問題点があるっていうの?」
こうやって堂々としていられるところも陽キャのすごいところだ。
僕なんかには一生かかっても真似できない。できるわけがない。
「あるぞ、よく聞け? まずな、陰キャは話しかけられない! そして話しかけてもキモがられる! どうだ? わかったか?」
えっへん。ちゃんと問題点を指摘してあげる僕、もしかしなくても偉かったりする?
これで舞も完璧に理解してくれたはずだ。
僕たち陰キャがどれほど悲しい生き物なのか。そもそも女子に話しかける、話しかけられる。その両方がビッグイベントなんだよ。
「……なにそれで堂々としてるのよ。キモ」
僕、八神蒼の心にクリティカルヒットしたのは、僕のお隣さんである朝神舞の辛辣な言葉だったようです。
_______
昨日間違って一瞬公開してしまって申し訳ないです……
明日からはこれくらい……かもっと遅くに更新します!
もしも面白い! 蒼メンタルェ……と思った方は星やフォローで応援していただけると幸いです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます