俺の犬になれ7
そして私は
アキラがこんな事をするなんて、想像もしていなかった。
幼い頃から知っていたからか、
アキラだけは性的な目で見てくるただのゴミ
目を見開いたままで固まっていると、勝手に私の唇をこじ開けて歯の隙間からアキラの肉厚な舌が侵入してくる。
「⋯⋯んんっ」
アキラの舌から逃げる私の舌は追いかけられ、上手く絡め取られてしまう。
嫌なのに、体が急に驚く程に熱を持ち始めて、自分に
許可なくキスするゴミ屑なんて、すぐにでも殴ってやろうとして握りしめていた手は、いつ間にかアキラの手に押さえられていた。
何もかも先手先手で悔しい。
隙を見て押さえている手から逃げようと企んでいたのに、吐息をも飲むような激しいキスに変わってすぐに全身の力が抜かれていった。
キス
頭に
こういうのを惚けると言うのだろうかと、溶けていく思考の中で思った。
キスだけでこんな事になるなんて、知らないんだけど。
ついに膝からガクッと崩れ落ち、床に膝をついた。
それと同時に重なっていた唇が離れた。
あれ?
もしかしてアキラの言う『犬』って、こういう事だったの?
……なら、本当に最低だわ!!
究極のゴミ屑じゃなくて、宇宙一のゴミ屑よ!
こんなの、あんたの周りにいる女にやらせれば喜んでやってくれる人が山のようにいるはずでしょ!?
なのに嫌がる私をわざわざ選んでする。
……そういう所も本当に変わってない。
なんで私なの?
私が何したって言うのよ!
「手始めに、ワンって鳴いてみるか?」
そんな馬鹿げたことをクスリと笑って言う言葉を完全に無視して、シャツの袖で唇を擦り切れるかと思うくらいに思いっきり
すると、頭上からスンッと鼻で息を吸う音が聞こえた。
「あれ、まだ
その声は、さっきと違って明らかに不機嫌で驚く程に低い。
力なく床に座り込む私は、アキラを奴隷のように見上げる。
目が合った瞬間に細くなるアキラの瞳は酷く冷たい色をしていた。
「前に止めろって、言ったはずだけど?」
その瞳に、怯みそうな自分が顔を出す。
駄目だ。ここで
強く出ないと。
じゃないとまた同じ事の繰り返しになる。
「ア……アキラは何様なわけ?
犬になれ、とか……煙草やめろとか!」
口では強い言葉が出るのに、至近距離でその鋭い目を直視できない私は……本当にうまく強く出れている気がしなくて不安を抱く。
チラっと様子を見ると、その冷ややかな目はずっと私を捉えたままで、どんどん自信がなくなって、徐々に語尾が小さくなってしまう。
「なんで……私が……アキラの言う事なんか聞かなきゃイケナ……わっ!」
何故か屈んだ彰が私の
何事かと思った1秒後には、私はヒョイッと持ち上げられていた。
「ええ!?な、何してんの!?下ろしてっ」
まるでお姫様抱っこのように軽々と抱き上げられた私は、小さなパニックに陥る。
「悪い犬には、お仕置だ」
✎︎____________
煙草を止めねぇお前が悪い。
口が悪くなって態度もでかくなったお前が悪い。
俺をイラつかせるお前が悪い。
また俺の前に現れたお前が悪い。
全部お前が悪い。
あぁ、せっかく長い年月をかけて忘れかけていたのに。
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