エピローグ

 一年と四ヶ月後


「私は、防衛大学校学生たるの名誉と責任を自覚し、憲法、法令及び校則を遵守し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、知識を涵養し、政治的活動に関与せず、全力を尽くして学業に励むことを誓います」

 

 戦争は相変わらず続いていて、終わる様子はまったくない。それどころか、少しずつ激化している。日常は緩やかにだけど確実に失われていく。


 私とメイは、既に失っていた。私は「敵国人」のレッテルを貼られ、メイはお父さんを失った。


 全部「敵国」の始めた戦争のせいだ。平和ならメイのお父さんが戦死することもなかったし、戦争の前は「敵国人」だと嫌われることもなかった。


 やりたいことを考えて、この選択にたどり着いた。たとえ「敵国人」だと言われても、私にとってはこの国が祖国だし、そこに住む人たちの日常を守りたいと思った。私やメイがこの戦争で失ったものを、みんなが失う日が来ないように。

 

 私も、戦場に行くのだろうか。

 

 それでも、私は戦死なんてしない。メイのお父さんみたいに、ある日突然いなくなったりなんてしない。


 きっと、帰ってくる。


 ――私は生きて祖国を守るのだ。

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祖国 zakuro @zakuro9715

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