邂逅
第13話やるべきことは榛原アリスの観察
明くる日は、波の音で目が醒めた。
薄目を開けて――少し落胆した。まず目に入ったのは、真っ白な砂浜と、目のすぐ前をトコトコと歩いていくオカヤドカリだったのである。
あの海難事故や無人島での一日、全てが夢であって、目が醒めたらフェリーの一頭客室のベッドの上だった――などという甘い幻想を嘲笑うかのように、オカヤドカリは背負った貝をゆさゆさと揺らしながら茂みの奥に消えた。
ゆさゆさ、という擬音で思い出した。
昨日、オカヤドカリ以上にゆさゆさしていた榛原アリスはどうなったのだろう。
寝返りを打ち、隣で寝ているはずの榛原アリスを振り返ろうとしたけれど――なにかに阻止された。寝返りが打てない。
ありゃ? と目と首だけで隣を見ると、びっくりするぐらい近くに榛原アリスが転がっていた。
今気がついたのだけれど――榛原アリスは界人の背中にぴったりと貼り付いたまま、まだ夢の中にいた。
昨日はあれだけ泣いたのだ、泣き疲れてしまっていても不思議はなかったのだけれど――それ以上に不思議に感じるのは、榛原アリスの容姿だった。思わず、界人は至近距離からまじまじと榛原アリスを観察した。
やはり、榛原アリスは近くで見ると、少し怖くなるぐらい整った容姿に思われた。
この不思議な髪の色、よく見るとやはり染めたものではなく、ちゃんと毛穴からその色だ。
真っ白な肌、長いまつげ、すっと通った鼻筋、柔らかそうな唇、そしてそれ以上に柔らかそうなビキニの中の胸――。
これが女の子という生き物、か。なんだかやっぱり男とは造りが違う。
それになんだか榛原アリスからはいい匂いがする気がする。
そういや、爺ちゃんは男は女の子に気軽に触れてはいけないと言っていたっけ。
昔、ウルシの木もかぶれるから触ってはいけないと言われたことがあるから、女の子とは男が触るとかぶれてしまうものなのだと、今まで界人は真剣に信じていた。
けれど――たった今、榛原アリスに抱きつかれている界人はどこもかぶれていないし、痒くもなかった。
女の子に触ったらかぶれる、というのは、どうやら界人の勘違いだったらしい。
触ってもかぶれないのなら――榛原アリスをもう少し触ってみたかった。
最初にどこを触ろうか、界人は悩んでしまった。
うーん、と唸り声を上げながら、界人はじろじろと榛原アリスを観察した。
やはり、最初に触るべきは口だろう。界人はそう結論した。
昔、爺ちゃんが鉄砲で山の中でクマを仕留めた時、口の中を見て、このクマは奥歯が磨り減っている、たくさん子を産んだいいメスグマだと喜んでいた。
そのクマの肉自体は硬くて、界人自身はあまり美味しいと感じなかったのだけれど、爺ちゃんはその日、始終上機嫌だった。
ならば、榛原アリスの口を開けて中に生えている奥歯を見たら、榛原アリスが世間一般の評価から見ていい女なのか悪い女なのか、自分でも判別が出来そうな気がする。
よし、と決めて、界人はそっと、榛原アリスの唇に触れた。
むにっ、という感じで唇が潰れるが、構ってはいられない。このまま、顎をこじ開けて――。
「んむ――」
と同時に、榛原アリスがむずがりながら薄目を開けた。
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