第13話 この世界の上
それからはクロキが毎夜、訪ねてくるようになった。そして、いつも、決まった場所を撫でられる。
しかし、愛らしいトキがもう、表面を撫でるだけでは刺激が足りないのを、クロキも気づいてきた。
クロキはトキを抱きしめながらも思う。
この世の老人たちは気に入らない家同士を結ばせて自分たちは甘い汁を啜っている。当然うまくいかない家同士で子ができるのは難しい。仮にできても政治には参加させない。すべてを水の国の占術で選んでいるのは確かだが。その占術の決め手はどの家とどの家が相性が悪いかだ。実権を握って下々の苦しむ様を見て、愉悦を感じるのは「上の」老人たち。
ある時は結婚式で催淫剤もしくは性欲減退の虹色の茶を用意してその後の若者たちの様子を予想する。
結婚してまもなく二人とも催淫剤入りを飲んでしまい、コトに応じるか、片方が性欲を著しく欠いた状態でどう切り抜けるか。はたまたどちらもときめきや性欲を覚えず、若いのに子も成さず時が過ぎるか。
他にも下衆の企みは沢山あった。
何かあって子ができようが要職につく事はない。
この世界の「上」はもう縮図ができている。
それでも上り詰めようとしたり、皆と結託して世界を盛り上げよう、なんて言う夫婦には、仲良く食前酒で死んでもらうこともある。
そんな陰謀も、いずれはトキも知ることになる。クロキはまず、水の国を味方につけたいと思ってはいるが、今は新妻の、反応が毎晩楽しみで仕方ない。
「はあ、はあ、はあ」
「声を出してみろ、トキ。気持ちいいだろう?言ってみろ、『気持ちいい』」
「きもっち、ぃ」
はずかしがって小声でしか言ってくれない
そろそろか。指をすこし差し込む。
「いや……」
「痛かったか?」
「……いいえ、でも、おかしくなるからいやなの」
こんなにびしょびしょで、ぬめりまで出ているのだ。すぐにでも、指を奥まで挿れられそうだが。
可愛い。トキが可愛い。
いますぐにでも、挿れたい。
たまらなくなり、顔を埋める。
あああっ!!とまたトキが嬌声をあげる。
ざらりとした舌で指ではまだ到達していないところを刺激してやる。
だめ、そんなところ、きたないっ、やあ、奧、やあ!
こんなにも愛おしい。
老人たちの言う通りにはならない。愛しいトキを思い切り抱いて、子をなし、両親が命を落とすことになった諸悪の根源を討つ。
やがて、トキが観念したようにこちらにすべてを任せてきた。まずは自分の指を観察させた。
「クロキ様のゆび、きれい……」
こぼれ落ちそうな胸に愛らしい腰つきの我が妻。
もう、自分は自分の体の醜さに卑屈にならない。妻が認めてくれたから。
ゆっくりと観察させた指をトキの様子を見ながら慣れさせた。その様子はあまりにも可哀想なくらい怯えながらも、次第に快感を知っていく愛らしい十六歳の少女だった。
自分と同い年の、愛しい我が妻。
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