第12話 秘密の場所

クロキの指は、細く長く、女性のように見えて。

しかしトキと比べるとやはり幾分か太かった。

そんな指で、トキは気づかれた場所を下着越しにびっしょりと撫でられていた。

「ここが溢れてくる……」

クロキがトキの髪を撫でながら、涙をキスで口に含みながら話しかける。

「怖いか?」

どうしてその場所をたくさん撫でられて、水が溢れてくるのかわからない。トキは答えない。

「何も知らないなら言うけれど、トキは快楽を感じてるんだ。反射で濡れることもあるけれど、トキ。今夜俺たちは、ここで繋がるんだ」

どういう意味だろう。

トキはクロキを見る。まだ裸にされたことを根に持っている。

「トキ、脱いでみせてみろ」

もう、すべてを旦那様に委ねよう。

「下着をですか?」

「そう」

しっとりした、しかしさらりとした生地のそれを、ゆっくり、脱いで、片足にかける。

「アンクレットも外そう」

無くさないように近くの鏡台に置いた。

「トキ、気持ちいいかは分からないけれど、感じてくれたら嬉しい」

クロキが、トキを抱きしめる。右手を、トキの秘密の場所へと。

「!」

「ずっと、ここが疼いてなかったか?」

「あっ、いや、あっ」

「そういう声も聞きたかった。でも俺のをいれた時の、トキの嬌声が聞きたい。今夜は、最後までするのはやめよう」

俺が早まったんだ。

クロキがトキの大切な場所を大切に撫でる。

「やっ、はん、あん、あ」

「そう、そういう声でいいんだ、トキ」

「やだっ、そこ」

好きな人に一番触られてはいけない場所だと感じた。他にもクロキに身体を撫でられると身体の芯まで熱くなり、ぞくぞくとした痺れが走り、それらは身体をガクガク震えさせる。

「やめて、もう、触らないで!」

寝台のシーツをたくさん汚してしまった気がするけれど、それらは夢のように透明でクロキだけが微笑んでいた。

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