メイドさんとかにやらせるんじゃないのか?
「……私、お茶と甘いもの持ってくる。……甘いもの、大丈夫?」
二人が視線を合わせていたかと思うと、リーナの方が突然そう言ってきた。
「……え、あ、あぁ。俺は大丈夫だけど、そういうのって、メイドさんとかにやらせるんじゃないのか?」
俺としては甘いものは好きな方だし、もちろん嬉しいんだけど、貴族の女の子がするような事なのか? と思って、そう聞いた。
ここの部屋に連れてこられるまでに何人かのメイドさん達とすれ違ってるし、メイドさんが居ないって訳でも無いしな。
「……大丈夫、絶対私かお姉ちゃんがやる」
「あ、はい。えっと、ありがとうございます」
「……ん、気にしないで」
よく分からないけど、なんかそう言うこだわりがあるんだったら、持ってきてもらう立場の俺が何かを言うのも違うしな。
そう思っていると、リーナはそのまま、部屋を出て行った。
「リーナとは、馬車の中でどんな会話をしたんですか?」
すると、ベラがそんなことを聞いてきた。
どんなって言われてもな……普通の会話、としか言いようがないよな。
「特に、当たり障りのない会話、ですかね」
そう思った俺は、そう言った。
だって、本当にそうだから。
「そうなんですか? それにしては、リーナが嬉しそうでしたけど」
すると、意外? そうに、ベラはそう言ってきた。
……嬉し、そう? ……付き合いが浅いからなのか、俺には全く分からなかったんだが。
……俺なんかよりも付き合いの長いベラの言うことなんだし、間違ってはないんだろうが、やっぱりあの表情に乏しい顔を見てると、どうしても嬉しそうだったとは思えないんだけど。
「ああ見えてあの子、結構表情に出てるんですよ?」
俺の考えが筒抜けだったのか、ベラは少し微笑みながら、そんなことを言ってきた。
……そうなのか。……ただ、残念なことに、もうこのお礼ってやつが終わったら、関わることなんてないだろうから、俺には一生分からなそうだな。
「アベル様も直ぐに分かるようになりますよ。……もちろん、私のことも含めて」
「……だったら、嬉しいな」
社交辞令だと思いながらも、俺はそう言った。
「はいっ。…………絶対、知ってもらいますからね」
「……ただいま」
そして、ベラが頷いて、何かを言ってる途中にリーナがそう言って、お茶と何か俺の知らないお菓子? を持って帰ってきた。
「おかえり」
「おかえりなさい、リーナ」
正直、ベラの言っていた絶対知ってもらうって言葉に少し違和感を覚えながらも、俺はまぁいいかと流して、リーナに向かってそう言った。
もしもそんな機会があるんだとしたら、仲良くなりたいとは思うしな。
……うちの村、田舎すぎて、同年代の子とか居ないんだよ。……まぁ、今の年齢に前世を合わせたら結構いってるし、別に寂しいなんて思ってないけどな?
……ま、まぁそれはともかくとして、ベラとリーナなら立場の違いがありすぎて、間違っても好きになったりしないし、純粋な友達付き合いが出来そう……だと思うし、そんな機会があるなら、仲良くなりたいな。……まぁ、その立場の違いでそれすらも無理かもだけど。
転生した俺のスキルはセーブとロード〜ある日貴族の姉妹を盗賊から助けた俺はその姉妹の重すぎる愛から逃げられない〜 シャルねる @neru3656
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