第22話「仲良く洗いっこ」

「――唯今さん、私が洗おっか!?」

「駄目よ、私が洗うんだから!」

「いやいや、私が――!」

「何言ってんの、私に決まってるでしょ!」


 大浴場に入ると、何やら村雲さんを巡って女の子たちが争い始めた。

 女の子から人気だってことは知ってたけど、本当に凄い。

 なんだか、狂気すら感じちゃう。


「いや、僕は自分で洗うから……」

「「「「それは駄目!!」」」」

「えぇ……ちょっ、そんなところ触ったら――んっ!」


 うん、ほんと凄い。

 私はこっちでおとなしくしとこっと。


「み、みんな、元気だね……?」


 体を洗おうとしていると、静香ちゃんが体の前側をタオルで隠しながら、私のお隣に座ってきた。

 この前まではほとんど話したことがなかったけど、最近はこうして静香ちゃんから話しかけてくれる。

 前から仲良くしたかった子だから、とても嬉しい。


「はしゃいでるね~。てか、村雲さんが凄いことになっちゃってる」


 女の子たちに囲まれて、くすぐったそうな声をあげながら体を洗われてた。

 あそこと私たちの温度差が凄い。


「静香ちゃんもあそこに混ざりたい?」

「む、むり……!」


 静香ちゃんは一生懸命首を左右に振る。

 私とは結構打ち解けた感があるけど、他の女の子たちとはまだまともに話してないもんね。


「私と洗いっこする?」

「えっ……あっ、んっ……」


 試しに聞いてみると、静香ちゃんはコクッと頷いた。

 やってはみたかったみたい。


「じゃあ、私から洗うね」


 そう言って、私はシャンプーを手につける。

 そして、優しい手つきで静香ちゃんの髪を洗ってあげる。


「目、開けたら駄目だよ?」

「んっ……」


 静香ちゃんはとても素直な子だから、ギュッと目を瞑ってる。

 身長は私とあまり変わらないのに、なんだか妹みたいでかわいかった。


 髪を洗い終わると、次は体なので、手のひらにボディソープをつける。

 そのまま優しく洗ってると――。


「ひゃっ!?」


 静香ちゃんが、甲高い声をあげちゃった。

 敏感な部分を洗ってたから、仕方ない。


「ごめんね、優しくするから」

「だ、だいじょうぶ……」


 俯きながらグッと我慢している静香ちゃんの体を、丁寧に丁寧に洗っていく。

 それでもやっぱりくすぐったいようで、我慢してる姿はこの前の愛ちゃんに重なった。

 

「はい、終わったよ」

「はぁ……はぁ……じゃあ、次私……」

「うん、よろしくね」


 今度は私が前になり、静香ちゃんが後ろに回り込む。

 そして、同じように髪を洗ってくれて、その後は体に手が伸びたのだけど――。


「…………」

「んっ!? し、静香ちゃん、なんで揉んでるの!?」


 急に、私の胸を揉み始めた。

 なんでこう、おとなしいはずの子がこんなことするのかな!?

 そんなに興味あるの!?


「ご、ごめん……。私と、全然違うから……」

「気になったってこと……? こういうこと、したらだめだよ……?」

「んっ……」


 叱られたと思ったのか、静香ちゃんはシュンと落ち込んでしまう。

 さすがに可哀想だけど、他の人にしたら困るから仕方ない。


「怒ってないからね?」

「そう、なんだ……。えっと……何食べたら、こうなる……?」


 私のが羨ましいのか、静香ちゃんは興味深げな視線を向けてくる。

 ちょっと恥ずかしい。


「普通のものしか食べてないよ? 牛乳もあまり飲まないし」

「そっか……いいなぁ……」


 どうやら静香ちゃんは、こっちのほうがいいみたい。

 私としては、重たいし肩凝るし、男の子の視線が来るから嫌なんだけどね。

 まぁ、翔ならいいんだけど。


 その後は、てきとーに雑談をしながら、私たちは仲良く湯船に浸かるのだった。


 ――後から湯船に入ってきた村雲さんは、顔を赤くして疲れ果てていたけど。




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【あとがき】


読んで頂き、ありがとうございます(≧◇≦)


話が面白い、キャラがかわいいと思って頂けましたら、

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これからも是非、楽しんで頂けますと幸いです♪

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