第1689話 カイナーズホームダンジョン
豪華客船を買うときも思ったが、これだけの大きいものを小さく箱に詰められる能力ってなんなんだ?
カイナの力とは思えねーし、プリっつあんのような伸縮能力とも思えねー。どこぞの魔王が考えた魔法なのか?
「教会は白い箱で、倉庫は青い箱になります」
コンシェルジュさんがミカンの段ボールくらいの箱を台車に載せてやってきた。
「謎が多いところだな、カイナーズホームは」
「カイナーズホームは所謂ダンジョンですので、いろいろ謎が多いのです。カイナ様もわかってないところもありますね」
「ダンジョン? え? カイナーズホームってダンジョンだったの?!」
「え? カイナ様から聞いていらっしゃなかったのですか? てっきり話されているのかと思いました」
「初耳だよ!」
あのバカはなに大事なことを伝えねーんだよ! エリナがダンジョンマスターなんだからそんとき言えや!
「それでか! カイナーズホームがやたら広い理由は! カイナの力ではおかしいと思ってたんだよ!」
あいつは魔王と魂を交換し、神からは元の世界の物を魔力と交換に創り出せる能力しかない。いや、オレに伝えてねーだけなのかもしれんが、それなら遠慮なく使っているはずだ。あいつは変に隠したりしねーからな!
「カイナーズホームがダンジョンならわざわざエリナにダンジョンを創らせる必要なかっただろうによ」
エリナのダンジョンはエナジードレインしねーと拡張することができねー。ヤオヨロズ国の民からちょっとずつエナジードレインしたり、海竜から奪っている。
「このダンジョンはカイナの魔力を糧に成長してんのか?」
「はい。カイナ様の魔力を発散させるためにありますので」
だからくる度に広がってんだな。カイナも魔力を溜め込むと体調が悪くなるとか言ってたし。
「てか、無尽蔵に広がって大丈夫なのか?」
「大丈夫のようですよ。生命の樹に魔力を吸わせているので」
「カイナーズホームに生命の樹なんてあったんだ」
そういや、うちのアマテラス(あれも一応、生命の樹だ。花人族みてーに自我を持っているけどさ)、どうしてんだろう? 完全に放置してたからわかんねーや。
「放置で思い出した。戦略ニートもなんとかしねーといけないんだったっけ」
お忘れの方は970話へレッツゴー! オレは思い出しただけでも奇跡なんでな!
「べー様はいろいろ放置しすぎですよ。リオカッティーさんのことはわたしも忘れてましたけど」
一度見たら忘れらんねー存在だが、それ以上の存在を見てっと戦略ニートなんて霞むんだよ。宇宙からの物体やら物質(?)やらと出会ってんだからよ!
「ま、まあ、そう急ぐこともねーしな。暇なときに思い出したら動けばイイさ」
どうせ引きこもっているだけの存在。あいつにしたら十年後でも問題ねーだろう。そのまま忘れたらごめんなさいね……。
「よし。買うものは買ったし、戻るとするか」
見習い魔女のことだけでも考えなくちゃならねーこといっぱいあんのに、カイナーズホームのことまで頭を使ってらんねーよ。暇なときに考えるわ。
「暇なときなんてやってくるのかしらね?」
不吉なこと言わないで! メルヘンならもっと夢のあることを言いなさいよ!
「買い物が終わったならフードコートに行きましょうよ。わたし、パフェが食べたわ」
「そうだな。オレも甘いもの食いてーわ」
なんか無駄に体力使ったわ。甘いものでも食って一息つくとすっか。
「ワリーが、見習い魔女どもにフードコートに集まるように伝えてくれや」
さすがに置いて帰ったら一生文句を言われそうだ。存在を忘れる前に集めるとしよう。
「畏まりました」
コンシェルジュさんにお願いしたら大丈夫だろうと、フードコート……はどこだ? カイナーズホームってなんか方向感覚がおかしくなるんだよな。
「そういや、大老どのもカイナーズホームをさ迷っていたときがあった?」
あれは方向感覚を狂わされていたからか? ヤベーな、ダンジョンって!
「コンシェルジュさん。フードコートまで案内頼むわ」
ここは素直にコンシェルジュさんにお願いするとしよう。別に自分の力で行きてーわけじゃねーんだしな。
「畏まりました。では、こちらです」
さすがにここで働いているだけではあり、迷うことなくフードコートに案内してくれた。
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