第1684話 プロケイス(マンモス)
やっぱりこの時代の人は切り替えが早い。葬式の次の日から精力的に復興を開始した。
町のことはアダガさんやカイカイさん──じゃなくて、カイさんに任せ、オレは教会を復興することにする。
「司祭さん。教会があったところに案内してくれや」
六十近い司祭のじいさんに案内を頼んだ。
マイルカの町には寺院と修道院があったらしいが、修道院のほうは壊滅。そこにいた者らは飛竜に食われてしまったようだ。
寺院も飛竜に壊されてしまったが、地下があったことで難を逃れることができたそうだ。
地下には食料と水があったので、オレが助けるまで全員が五体満足で生き残れた。地下を造った昔の司祭に感謝だな。
「ここです」
あ、ここか。スピード重視で瓦礫を片付けていたから忘れてたわ。
大まかな瓦礫は片付けたが、まだ細かいものが残っている。それらは教会の者──十三人にやらせた。自分のところは自分たちでやらせないと変な意識が芽生えるからな、苦労してもらうとしよう。
「司祭さん。オレは材料を調達してくるよ、うちのもんは残していくから炊き出しを頼むよ」
メイドさんたちはまだ残ってもらっている。万が一に備えてな。
……うちのメイドは下手な国の兵士より強いからな……。
「よし。見習いども、いくぞ!」
「わたしたち、いく必要ある? なんの役に立つのよ?」
………………。
…………。
……。
「ねーな。じゃあ、残っていろ」
よくよく考えたらオレ一人のほうが速やかに材料調達できるわな。下手に周りにいられたら邪魔でしかねーわ。
キャンピングトレーラーを外し、ゼロワン改に乗って森に向かった。
平原が多いマリンベル王国だが、飛竜が住める山脈があり、その麓には手つかずの森が広がっている。
復興用の木材はたっぷり。そして、魔物もたっぷり。
「おー! プロケイスなんて初めて見たぜ!」
毛の生えた象。まあ、マンモス的な魔物だ。この大陸全土に生息していたが、冒険者に狩られて絶滅寸前だって言われている魔物でもある。
「お、群れでいるじゃん。マリンベル王国の冒険者はなにやってんだ?」
こいつの肉は旨いって話なのに、こんだけ残っているとか奇跡だよ。
「その奇跡を台無しにするのがべーよね」
「魔王より魔王らしい村人です」
ヘイ、外野! ちょっと黙ってろや! オレは一度した失敗は二度はしねー男。もう根絶やしにしたりしねーよ。
「町のヤツらに肉でも食わせてやるか」
海竜の肉と地上の肉とでは食感や味が違う。いや、言い訳は止めよう。オレが食いてーので狩らしていただきやす!
「あ、見習いたちに生きているプロケイスを見せてやるか。珍しい魔物だしな」
オレ、失敗。次からはちゃんと見習いどもを連れてくるとしよう。
転移バッチ発動! 町に戻って見習いどもを連れてきた。
「なんなのよ! ゆっくりできると思ったのに!」
怒る委員長さん。そんだけ元気なら大丈夫そうだな。
「お前ら、攻撃系の魔法は使えるか? よし、使えるな。四人でアレを狩れ」
「問答無用すぎるわよ! わたしたちは大図書館の魔女なのよ!」
即座に反論する委員長さん。きっびしぃーっ!
「ワンダーワンドを使え。それには魔力を込めたら魔弾を撃てるようにしてある。あ、バ○スって言葉は使うなよ。十秒後に飛竜でも爆散させるほどの爆発を起こすからよ」
自爆はロマン、ではねーが、最終兵器をつけるのがオレのロマンだ。
「その法衣にも結界を施してある。プロケイスに踏まれても角で刺されても平気だから安心しろ」
「なに一つ大丈夫じゃないわよ! なぶられろと言われているようなものじゃない!」
「ガンバレ!」
委員長さんを優しくつかんで思い切りプロケイスに投げつけてやった。
「食うんだから考えて狩るんだぞ~」
プロケイスの横っ腹に激突した委員長さんに注意した。
「よし。オレに投げられるか、自ら突っ込むか選ばせてやる」
「鬼ィー!」
それは鬼族侮蔑になるから止めなさい。
自ら突っ込むことを選んだ三人を見送り、オレはマン○ムタイムと洒落込んだ。
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