第8話 花の精と通行料

 川沿いに山道を進む男。やがて、かずら橋に行きつく。

 どこからともなく、美女が現れる。

 美女は、花の精である。山の主から、橋の見張りを任されているのだと言う。

 橋を渡るためには、通行料が必要である。

 お前の持ち物で、通行料になりそうなのは、その風呂敷包みか腰の刀だけである。どちらかを置いていけと言う。

 無論、父より託された荷物は置いてはいけぬ。

 ならば、刀を捨てるがよい。

 男は、否と言う。

 花の精は、涙を流した。

 その時、男はようやく気付く。

 そなたは、村を出てすぐ出会った少女では…。

 花の精は、男に近寄る。花の精が男に触れると、男はその場にくず折れる。退出する花の精。

 やがて、男は身を起こし、橋を渡った。

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