第8話 職員会議

 その計画は、終業式を終えた後の職員会議で持ち上がった。


 アラカシの伐採が決まってから、切り倒した後の木の処理をどうするのか。

園長は決めかねていた。


 園内に植えられている木はアラカシだけでなく、桜や銀杏の木があり、それらの庭木は定期的に造園業者に手入れを依頼してきた。

 今回の大木の伐採も馴染みの業者に仕事として発注してあったのだが、いつもの剪定後の枝と同様に、切り落とした木を回収して破棄してもらう――――どうしてもその決断に、気が乗らないのだった。


「薪にして燃やすのはどうでしょう? キャンプファイヤーですよ! いつもお泊り保育の時に、皆で囲むじゃないですか」


 そんな提案を出したのは、若い女性教員だった。彼女もかつて、この園で子供時代を過ごした一人である。


「星の下で燃え盛る大きな炎になって、皆の思い出の中にずっと輝き続ける……素敵ね」

「アラカシも喜ぶんじゃないですか」

「お泊り保育か。泊まりは年中と年長児だけだけど、デイキャンプってことで夕方帰ってくる形であれば、年少児も参加できますかね」


 賛成の声が続き、具体的な計画へとシフトしつつある中、「でも」と重大なことを思い出した、一人の教師の声が響いた。


「確か伐採したばかりの木を薪にするまで、数年はかかりますよ。乾かさないといけないから」

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