ひとまずの経験。

 東急に乗るとなぜか妙に目につくサンマーク出版。少し前までは”立場ない人のための”立花出版が多かったように記憶してますが。

 まあ宗教も啓蒙も似たようなもんだしな!(暴言)


 そのサンマーク出版なんですが、一時、文芸(しかもエンタメ系)に進出した時代がございました。折りしも第……三次?ノベルスブームが来てた頃です。

 三次なのかな?

 多分、第一次はカッパノベルス、というかノストラダムスの頃のはずで、二次が獏、菊地のオカルトバイオレンスホラー(なんか他に呼び名なかったっけ?)とすれば、京極夏彦から始まるノベルスの復権はおそらく第三次でいいはず。

 嚆矢となる講談社ノベルスに続けとばかりに新興のレーベルとかも台頭してきた時代でした。

 結局、そのレーベルで何作ぐらい出たのかは知らないんですが、ひとつ記憶に残ってるのが『芳術師』(多喜本晶土/サンマークノベルズ)という作品。多分わざわざ探し出して読もうとするような人もいないと思うので書いちゃいますが、オチのノリがダメな「IT」みたいな……。

 まあ、でもわりと面白かったです、「匂い」をテーマにしてる作品って、意外とないんですよね。いや、あるのに私が知らないだけかもしれませんが。

『香水』(パトリック・ジュースキント/文春文庫……え、文春だったっけ? ハヤカワかと思ってた)、『オルファクトグラム』(井上夢人/講談社文庫)、「女囮捜査シリーズの嗅姦」(山田正紀/トクマノベルズ→現『囮捜査官北見志穂』へ改題/徳間文庫)、とかパッと思い浮かぶのはそのあたりで、他になんか有名どころとかマイナーなのとかありましたっけ?

 あれば是非教えてほしいかと。単に個人的趣味で。

 その昔、「香料」のプロフェッショナルの話とか面白そうだよなあ、とか考えたことあるんですよ。香料だけでとんこつラーメンの味再現するあたりから始めて。ま、調べるのめんどくなって頓挫してそれきりですけどw


 ところで何の話でしたっけ?

 ワールドメイトの話でしたっけ?

 て、怒涛の展開すぎるだろwww


 いやまあ、匂いの描写というのは難しいけれど、だからこそ面白いかな、という。共感覚みたいので安易にやってしまうのもなんだかだし、結局比喩に頼るのが妥当な方法なんだろうなと思いつつ、ここぞという部分では効果的でも、それが連発されると読むのキツいだろうなあ、とか。


 そういえば時間云々の話も以前しましたが、圧縮・展開・飛躍なども、あれはベースとなる部分の話であって、小説の花形はやはり描写と比喩なんではないでしょうか。

 この「描写」というのもなかなか難しい話で、特に実作者界隈で迂闊に論議しようものなら互いに思い描く「描写」の定義がそもそも違うとかもザラで。

 私が花形だと思う描写は、いわゆる心理描写のことではなく、そこを描写する=切り取る=故に描かれていない感情や雰囲気を表現している/先行きを暗示させるようなトーンを規定する みたいなアレなんですが(なんだよアレって)、一方で文字だからこそ丹念に書き込める心理描写をこそ花形だと思う人も勿論いるでしょう。そこは好みの問題じゃないでしょうか。ただ、「描写に淫している」的な話になったときはそもそも何を指していうところの描写なのか、相互確認は必須だと思います。


 で。比喩。

 比喩ねえ、これも間違いなく小説界のトップスターなんですけど、これもねえ、難しいよねえ。春樹みたいなメタファーは、あれはもうセンスというか、多分考えて捻り出すようだと大抵ダサい、ということになるんだよなあ。

 というわけで、いかに読み手に共感させたり、体験しているように感じさせるかという方向の比喩が正解、ということが多いのでしょうけど、でもやりたくなるんだよなあ。だから春樹は危ない、とか言われてたんじゃないかなー。

 自分の得意な、もしくは自分の中では間違いないという感覚、けれど人に伝わるかわからない、伝えられる気がしない、という表現にこそ比喩は有用でしょう。ひたすら職人的にテンプレや題材に則ってストーリーテリングだけで読ませるような豪腕タイプは、必要最低限の比喩しか使ってないんじゃないかしらん?


 えー、そんなこんなで一週間、まあほぼサボりの日とかもありましたが、よくわからない話題をよくわからない展開の仕方をしたりそもそも展開しなかったりと好き勝手にやらせていただきました。


 こういうのって、多分、そんな面白くならないんですよね(苦笑)。大好きな筒井康隆、彼のエッセイ(笑犬楼)とか読むとなんか知らないけど書きたい気持とか盛り上がってきたりするんですが、「テングの落とし文」とかまーつまらなかったしなあ。あれは形式のせいもあるか。好きな作家でもそういうことがあるのだから、推してしるべし、ということで。


 こっちは完結ではなく、何か思い立ったら書く場所にしようかと。それにしても連載中の多いこと。エタってるものはひとつもありませんが、昔は文庫落ちを楽しみにしてたらノベルズになりやがってくそう、とかそういう時間経過でしたが、最近は油断すると気づいたら文庫落ちして数年、え次の新作でるの⁉︎ がザラだったりするので、その時間感覚であることは容赦されたし。


 ところで『ドリフターズ』(平野耕太の漫画)がそんな出てなかった(7年ですって奥さん!)ということに気づきもせず多分五巻とか読んでない気がする、とか、久々に出る京極の京極堂シリーズ(百鬼夜行シリーズって言い方はいつからなのだ、馴染めん!)にいたっちゃ17年ぶりとか、そりゃ歳をとるよなあ、と思いましたw


 17年ぶりって周期ゼミか!!


 以上、ひとまずの終焉でございます。

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