「あ、こういうものもありなのか」と素直に喜んでくれる(森博嗣)

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期待を外すことは、いうなれば自由を体感させることだ、と僕は考えている。期待を外されたとき、多くの人は、「なんだ、これは……。期待外れだった」と否定するかもしれない。けれど、一部の人は、「あ、こういうものもありなのか」と素直に喜んでくれる。

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森博嗣『自由をつくる 自由に生きる』より


これを筆者はあくまで、「ビジネスチャンス」を手にするためのテクニックとして述べている。でも、「自由にやることを恐れる必要はない」と言っているようにも読める。自由にやって、9割の人に嫌われたり無視されたりしても、1割の人には受け入れてもらえるかもしれない。だから、無理に相手の期待に合わせる必要なんてないのだ。


もっとも、10割の人から相手にされない場合、それはどこかに問題があるようにも思う。他人の期待に合わせないというのは、必ずしも独りよがりということとイコールではない。「世の中には、自分と同じようなことを考えたり感じたりしている人が必ずどこかにいる」と信じることではないだろうか。何かを表現することの根柢には、世界のどこかにいるまだ見ぬ他者への信頼があるのだと思う。

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