第2話 人を誘うのって難しいんだね
「傑くん、おはよう!」
「
彼女は
「そんなことないでしょう? 先生はみんなに挨拶してるよ?」
「うん、そうだな、そうなんだが……それはちょっと違うっていうか……」
確かに先生達は挨拶を毎日してくれる。だが、僕が言っているのは友達に限ることで……いや、そもそも毎日挨拶するくらい仲の良い友達って、美香の他にあんま居ないな、そういえば。
僕は、美香のおかげで多少良くなったとはいえ、いまだに人と関わることにそこまで慣れていない。だがまあ、クラスの大半とは喋ってるし、毎日決まって話すやつもいる。これが慣れているかどうかは分からないが、自分の中ではまだ慣れていないということにして処理している。クラス内で目立たない程度には、できるだけクラスメイトとのコミュニケーションは取るようにしている。
「まあ、別にいいけど。……あれ? 今日はあいつらと一緒じゃないのか?」
「ああ、うん。なんか今朝は昨日の部活の試合で使った荷物を片付けてるんだって さ。今日、登校するときに連絡来たんだよね」
「そうなのか。……なあ、美香」
「ん?」
僕は、友達と出かけたことがない。この前、休日に散歩をしている時に美香達が出掛けているところを見かけた。それを見て、僕も誰かと一緒に出掛けたいと思った時に、最初に美香の顔が浮かんだ。だから誘おうと思ったのだが……
「どうしたの? 傑君?」
美香は、クラスの中でも人気者で、よく陽キャ男子軍からカラオケに誘われているところを見かける。その他にも、男子数人と出掛けたりするという話は聞いたことがあるが、誰かと二人きりで出掛けるという話は聞いたことがない。だとすると、男子と二人きりで出掛けるなんてことは、僕が初めてということになる。それが僕でいいのだろうか。そんなことを思って言葉を詰まらせていたのだが……
「ねえ、どうしたの? 傑くん! 言いたいことがあるなら言って!」
「あー、えっと……だな……」
「なに!」
「その、だな……今度、美香と一緒にどこかに出掛けたいな……と、思って」
ぎこちない笑顔を浮かべて、言葉を何度も詰まらせながらも一応何誘うことがはできたが、美香はうーんとうなりながら腕を組んでそこまで悩むかと思うほどに、かなり悩んでいる様子。
「なあ美香、行きたくないならそう言ってもらえれば……」
そのとき、後ろから肩をたたかれた。なんだと思って後ろを向くと……
「加藤ってさ、安藤さんの事好きなの?」
「は?」
なに言ってんだ? こいつ。
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