第3話 待望の皮の靴

衝撃の事実だ。

この世界では弓は弦を引くと矢が現れる。

無尽蔵に。なんだこれ、ほとんど魔法じゃねえか。

俺はスライムめがけて兎に角矢を放つ。

この世界のスライムはクリティカルヒットでないと

倒せない仕様となっている。

またこれが出ないんだよ!クリティカル。


大体、30回に1度くらいしか出ない。

まぁレベル1だしなっ!

スライムを3匹倒したところで、お待ちかねの

レベルアップ!やったぜ!レベル2!

ステータス2ポイントは攻撃力と素早さに振る。

HPは3もあがった!やったぜ!・・・くそが!


しかしジヴァニアのおかげでステータス値とHPは2倍となっている。

なので攻撃値と素早さは4となりHPは48となっている。

・・・変わった気がしない。うん。


最初に弓を選んだ理由は、実はもう一つある。

弓にはパッシブスキル、いわゆる武器固有のスキルではなく

俺自身にかかる常時発動のスキルが結構あるからだ。

その中でも欲しいスキル、クリティカル率15%アップ。

固有スキルであろうとパッシブスキルであろうと、兎に角

矢を放ち続けるしかない。ゲームでは確率で閃めいていた。


それ通りになるとは限らないが。


因みにスライムを倒すと軽貨3枚がドロップした。

これはゲームの時と同じだった。


この世界の貨幣と価値は

・軽貨1枚で100円

・銅貨1枚で1000円

・銀貨1枚で10000円

・金貨1枚で100000円

くらいだ。


勿論レア素材もドロップする。というか、していた。

『布の服』『布のズボン』。他にも薬草だ。


レベル2になってから5匹倒したところでレベル3となった。

勿論、ポイントは攻撃力と素早さに振った。HPは5あがったので

ジヴァニア効果で58となった。


なんだかんだで腕が痛い。もう数えるのが面倒なくらい

矢を放った。クリティカルでないし。


「ねぇ、お腹すいたんだけど」


はいはい、飯ですね。・・・え?

お腹はすくものなのか?勿論ゲームでも料理はあった。

しかしそれは、ステータス強化のために有ったもので

お腹がすいたから食べるものではなかった。

ゲームでは空腹と言う概念はなかったはずだ。


そう考えると何故か俺も空腹感に襲われた。

な、なにか食うものあるだろうか・・・・。

俺とジヴァニアはとりあえず最初の小屋に帰る事にした。


俺はジヴァニアに質問した。

何故に!お腹が減るのだろうか!と!


「そりゃあ、生きているからね」


そりゃそうだ。俺とジヴァニアは小屋の中を色々と

物色したが食べられそうなものは何もなかった。

フィールドで獲れってことか・・・。

因みに喉も乾いてきた。あぁ、コレが生きているって事か。


採集スキルは開始から持っている。勿論レベル1採集だが。

俺は小屋の周りに生えている草をむしって食ってみた。

・・・・苦かった。


「なんかさぁ、甘くておいしいものがたべたいんだけど。

 そう!果物よ!果物!」


俺は記憶を呼び戻す。開始の場所には確か食えそうなものは

ないはずだ。って事は一番の理想は街に行く事だ。

地形や地理が変わっていなければここから北上すれば

街・・・というか村があったはずだ。


俺はメインでは一気に村を目指したので道中に

何か採取できるかあまり詳しくない。

しかし、ここに居るよりはましだろう。

俺はジヴァニアに村を目指すことを提案し、ジヴァニアも

ソレに納得した。


今日はもう遅いので明日の朝、小屋を出る事にした。

本日の収穫は軽貨24枚(2400円)。薬草2個。

装備のドロップは・・・・無かった。


朝になり出発した。移動かぁ。オートランって便利だったんだな。

疲れないし。しかし、これだけ歩くのは何年ぶりだろうか。

1時間も歩くとめっちゃ疲れた。

道中にキョロキョロとしながら歩いている。

そう!食べ物を見つけるためだ。いまだに・・・ない。


がしかし、スライムと芋虫は居た。

芋虫なんて5メートルだった。こここんなにデカかったか!?

兎に角、逃げながら矢を放つ。芋虫は普通に継続的にダメージを

与えれば倒せるが、スライムと違って攻撃をしてくる。

しかし、弓なので距離を保ちつつ攻撃を繰り返しているので

敵の攻撃は当たらない。うん、やっぱ初期は弓で正解だ。


ちなみに芋虫のドロップは軽貨4枚。なんと2匹倒したところで

待望のレアアイテム『皮の靴』がでた!・・・サンダルじゃねえか。

履いてみるとなんと!素早さが1あがった!やったぜ!・・・くそが!

芋虫を5匹倒したところでレベルアップした。これでレベル4だ。

勿論、攻撃力と素早さに振る。


現在のステータスはジヴァニアの加護抜きで

レベル4 HP34

攻撃力4

防御1

素早さ4

賢さ1

耐性1

運1

となった。ジヴァニアの加護で2倍なので

攻撃力は8だから既にメインの時のレベル10を超えている。

HPも68だ。ジヴァニア様様だ。


少し休憩がてらに考えた。運をどこまで上げたら強運の持ち主に

なるのだろうか。メインの時もあまり実感はしなかったが

何か良いことがあったんだろう。たぶんドロップ系で。


移動系のなにかが欲しい。ゲームでは超小型のドラゴンに乗って

移動していたが、あれって確かダンジョン・ボスからの

ドロップアイテムだった気がする。あーでも、それは相当

後だったか。確か一番初めに手に入れたのは大型の犬の様な生き物

だったなぁ。


そんな事を考えながら歩いていると小川があった。

やった!水だ!水が飲める!俺は走っていき、もうそのまま

水面に顔を付け、ゴクゴクと飲んだ。

人間切羽詰まると後先考えないで行動するってのは本当だ。

飲んだ後に大丈夫か心配だったが本当に旨かった。


公害なんてないんだな、この世界。

ジヴァニアも飲んでいる。


この小川が俺の思っているヤツならばこの先に洞窟があるはずだ。

『モグラの穴』という冒険者が初めて訪れる3層のダンジョンだ。


思い出した!そこでは食べたら攻撃力が上がるパンをドロップする

魔獣が居た!キノコンという植物系だ。キノコでパンがドロップで

開始当初に呆気にとられたのは今でも覚えている。


そこに着くまでにどうしても布の服とズボンが欲しかったので

やっぱりスライムも倒すことにした。

2匹目で布のズボンが出た!・・・なんか海パンのようなズボンだった。


腰に巻いていた布は勿体ないので体の上に巻き付けた。

うん、布も2枚巻きすれば少しはいいだろう。・・・・ん?

出来るんだ・・・こういう事。


ステータスを見ると布上の防御力が1になっていた。





防御力を確認してる時、

いまだ俺達はこの地に魔王が

誕生したことを知るはずも無かった












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