二十八 予見予兆
共鳴の泉のほとり。
イレーズの予言通り。表陽のピストルオイラー呪術の任務ばかりが続いていた。
ライアンの背に
フィックスオイルを噴射された謝礼対象者のフェイトギアは
途端に運気が好転して善導が始まる。不思議な機運の流れに乗せられて。ビッグウェーブに乗っかって。幸運エリアへと自然と導かれていくのだ。これほどまでに爽快で
それにしても。トレジャンは日常生活の中に多くの感謝の念を抱いている。必然的にフィックスオイル噴射任務は大忙しになるのだ。
家族や友人はもとより。通学電車でたまたま隣りに腰掛けて楽しくお喋りをしただけの見知らぬお爺さん。電車を待つ駅のホームで軽く咳をしたトレジャンにのど飴をくれた観光客の中年主婦。歩道で通行者の妨げにならないようにと
しかし。
だけど今すでに。トレジャンのフェイトギアを
俗にいう『嫌な奴』は、そこらじゅうに居る。そういった
しかしながら。俗にいう『嫌な奴ら』は現段階では処罰対象者になっていない。トレジャンの人生経験として寛大処理がなされていた。
ゲイルが現れた。
「任務遂行ご苦労。しかしそろそろ表陽任務だけでは飽き足らなくなってきているのではないか?
ヒミコンは心の内を見透かされるのが無論の日常に開き直って正直に返答した。
「はい。その通りです。
ですが。
ゲイルは予見予兆の言葉を発する。
「近々。処罰対象者が明らかにされるだろう。……もう間もなくだ。ライアンが
そしてヒミコンに求められることはただひとつ。地獄行きのラストオイルが注入された赤黒いピストルオイラーのトリガー(引き金)を引くことだけだ。良いか?
「はい!」
「同情するな。迷うな」
ゲイルは
ヒミコンは疑問に思う。
……なぜ極等万能祭司四人衆は返す返す伝えてくるのだろうか。『
もしかすると。私の心は
私が感情移入して迷いを生じさせるとでも言いたいのだろうか?
トレジャンの美しいフェイトギアを
生怨霊を大量発生させる『
一体私にどんな
しかし確かなことは! もう間もなく
ヒミコンは思わず
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