二十三 未來王って②
……シップが続ける。
我らが未來王は新旧新古を受容できる。不要物は冷厳なまでに
多数決だけを優先とする偏った観念。かび臭い時代錯誤の慣習。脅迫概念を刷り込み服従させる高圧的方式。それらは淘汰する。
そもそも。未來を生きる賢い若者たちがそんな
今や男尊女卑など有り得ない。マイノリティの意見に耳を傾け、ときに寄り添い、ときに受容する。現代社会において常に寛容寛大たる多角的思考と知見が求められている。
ゆえに封建社会の理念思想はカビの生えた時代遅れの産物ともいえるであろう。
新しい時代に適応した最新型のスペシフィケーション(仕様)や健全なるコミュニティ(共同体)の構築が実現されていくことが望ましい。
現代はすでに多様性が重要視される『
そして実のところ。ここからが本題である。
現世にただならぬ不穏な空気を察知した。この
もし万が一にも『自作自演の大罪』が実行されたならば、
我らの敵となるのは『善を装った悪党』である。『善人を装う
悪党が悪党らしく見えるのであれば分かりやすくて親切である。しかし奴らは知的な
予見予兆では。奴らが生成した粗悪な生怨霊の
マニピュレーターは己の欲楽のためならば他人をも平然として
残念なことに。
無論の定義であるが
王は人間界に降りた。そして積極的に様々な
それはある意味では不平等の調整作業だともいえる。
王は
遂に未來王が
極等万能祭司にとっても、人類にとっても、未來王は至極の宝であるのだよ……。
ヒミコンは鼻息荒く感激して感服した。
……未來王ってすごい!
なんて、器の大きな
たとえ叶わなくても。
ヒミコンは図々しく質問をする。
「未來王って、どんな見た目で、どんなお人柄なのですか?」
シップとクロスは思わぬ問いかけに
シップが答える。
……『未來王』は固くて柔らかい。熱くて冷たい。真面目であり不真面目である。そういった具合に対極を
地上では。ご威光の光背オーラを完全に消している。さらには極力目立たぬように地味に生活しておられる。気さくであり、軽やかであり、庶民的である。
しかしながら。聡明なる人物像からは隠し切れない崇高さが
未來王の脳内は常にフル稼働している。
どう救い、どう
さらには移ろいゆく時代の中に『
イレーズは口癖のようにこう評する。
『王はさらりとしたフレキシブル(柔軟)なるジーニアス(天才)である』とな……。
ヒミコンは
「素晴らしい講義でした! ありがとうございました! フレキシブル未來王の大ファンになりました! 最高にキュンッ、です!」
クロスはヒミコンの軽薄発言に心底呆れた顔をして皮肉を言う。
「能天気ヒミコン。お前もいつか未來王に
「はいっ! 遠目でもいいので、いつかこの目で見てみたいです!」
シップは
「では。リミットまでにミッションをクリアできるよう頑張りなさい。そうすれば『選ばれし者』となって
「はい!
ヒミコンは元気いっぱいに返事をした。
シップとクロスは、やれやれとばかりに肩をすぼめて去っていく。
消えていくふたりの背中を見送って、決意を新たにする。
……未來王ってイケている! 今や三千大千世界の
そうとなれば! うじうじと悩んでいられない。落ち込んでいる場合などではない。
目指せ! 未來王の末端弟子っ!
よおおし、やるぞぉ!
瞳を
そして再び張り切って! トレジャンの泉を覗き込んだヒミコンなのであった。
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