十 ラピスラズリの星
雛子は一面が
目の前には、造形美を有した
四人はそれぞれ、豪華なひとり掛けのアームチェアに座っている。長い脚を組んで不機嫌顔で
雛子は脅威に萎縮しながらも脳内は現実から逃避していた。そして得意の妄想に
……ああ、私。本当に死んだんだ! ってことは、ここは
天上界っていうよりも、なんだか地獄の入り口で
恵林寺でミッションを課してきた極等万能祭司のゲイルって人が居るってことは、この人たちが極等万能祭司四人衆! ってことなのかしら。
みんな若いけど二十代後半くらいかな。服装はそれぞれ個性的だから自由なのかしら。
それにしても顔が整い過ぎていると
ゲイルが口を開く。
「そうだ。ゲイルだ。私の名を覚えていたようだな? ここは
雛子は心の中を
ゲイルの隣に座る和装の男性がおもむろに言葉を発した。
「私の名はシップ。この度はミッションクリアーおめでとう。
服装は自由だから私は
シップは大人の色香が漂っている。結城紬の着物姿は何とも
けれど雛子は気もそぞろだ。
……うわあ、雑多な念まで、すべて読心透視されている。どうしよう、怖い! ヤバい!
ゲイルがサラリと言い放つ。
「シャーマンを目指しているのだろう? 読心透視されて怖いなどとは呆れるな。ここではすべてが見透かされていると思え。
天上界、ましては藍方星でのシャーマン修行は甘くないぞ。
しかし心配は無用だ。シャーマンとしての資質が足りず、無能であり、使えなければ下界に蹴り落とすまで! ここには一切の妥協や温情などという甘きものは存在していない」
雛子は恐ろしい場所に来てしまったと背筋が凍りついた。
シップが説明を始める。
「まずはお前の呼び名だが本日より『ヒミコン』とする。
これから『選ばれし者』となるための修行が始まる。
「はいっ!」ヒミコン(雛子)はひれ伏して元気よく返事をした。
シップが続ける。
「今後についてだが。すべての人間が潜在意識の
ゲイルが補足する。
「では、『選ばれし者』として認定されるための修行の詳細を説明をする。
私たち極等万能祭司四人衆には共通の宝である重要人物がいる。
その人物に
その人物は大変に美しいフェイトギア(宿命の歯車)を有している。ゆえに、
要するにヒミコンは。その宝なる人物の『専属シャーマン』となるのだ」
ヒミコンは思わず声を上げた。
「ええっ? せっかくシャーマンになれても、たったひとりの人間を護ることだけの任務なのですか?」
藍方星がシン……、と静まり返る。
氷河期再来? 気温の急降下? 寒々しくて底冷えがする。悪寒がする。
藍方星の崇高な輝きさえも一瞬消え失せた気がした。まるで優美なラピスラズリの星の周囲にだけ暗雲がたちこめたかのようだ。空気が暗くて寒くて重苦しい。
地を
「てめえェ! ふざけんなァァ?」
「なんなの? こいつ。ムカつく」
全身黒色と全身白色のゴシック調の服装をした美形祭司ふたりが、初めて口を開いた。
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