序開き。

 

 潜在意識の最奥さいおうに『フェイトギア』という歯車が存在する。フェイトギアはすべての人間ヒトが所有し、大小ふたつの歯車が噛み合って回転している。

 フェイトギアは外側からは見えないが、サブコンシャス(潜在意識)の最深部さいしんぶにおいて密やかに回転している。

 心臓が休むことなく脈打つように。歯車ギアも命尽きる最期さいごの瞬間まで休まずに動き続けている。

 各々おのおのの人格や心根、さらには遺伝子によってフェイトギアの性質や材質には差異がある。 

 存命中の人間ヒトの人生や運命に大きな影響を及ぼし、宿命をも左右する歯車がフェイトギアなのである。

 自己の所有するフェイトギアを輝かせることこそが、人生を輝かせ夢を叶える『王道』であると天部ではいわれている。


 きらめくフェイトギアの持ち主は、三千大千世界のあるじ『未來王』から認められる可能性を有している。

 未來王から認められれば『選ばれし者』となる。

 未來王に選ばれし者は、特別なる能力と特別なる任務を直々じきじきたまわる。

 その者には、無限なる救いと無尽蔵むじんぞうなる日々が与えられるといわれている。

 つまりは、アンビション(野心)を超越した、『永遠とわ』と『未來』を手中にすることができるのだ。

 

 しかし、現世界げんせいかいでの成功者が『選ばれし者』になれるとは限らない。

 選ばれし者になるためには。飄々ひょうひょう坦々たんたんとして掴みどころのないサブラファィム(崇高)なる未來王に出会わなければならない。

 さらには。狂逸くるいはやりなまでに気難しいノーブル(高潔)なる四大弟子たちからの絶対的信頼を勝ち得なければならない。

 しかし選ばれし者になれる可能性はゼロではない。そもそも其処そこ辿たどり着く道のりへの明確な法則性が存在していない。

 言い換えれば。誰にでも『等しく』チケット入手のチャンスがある。そうともいえるのではないか。

 それならば。今生こんじょうを藻掻いて足掻いてみるのも一興いっきょうなのかも知れない。

 どうせこの先の未來がどんなものであるかなど、誰ひとり知るよしもないのだから。

 

 さあ、無尽蔵なる未來を手中にするのだ。

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