重ね合わせ

約束の時間私は待ち合わせ場所にいた。ここには沢山の思い出があった。もう悲しい思い出ではなく楽しかった思い出になった。今の時期は色とりどりの花が咲き乱れているが私はモノクロの世界だった。少しだけ残念だ。そんなことを考えて兼心の姿を探していた。いたけれどもなんて話しかけようか。

「ほたる。その色覚大丈夫かい。」

「今日もモノクロだね。でも平気だよ。前に来た色付きの風景があるからこんな感じかなって楽しめるよ。」

「そっか。じゃあ行こうか昼めしどこにしようか。」

そう言いながら歩き出した。始めて出かけた時の事を良く思い出した。色々と考えなしにどこにでも行って二人で困っていたなと。今も昔も優しく笑うところは変わってなかった。半分楽しさがあり虚しさもどこかにあるようなそんな感情の中時が過ぎっていった。一つだけわがままを言っていいのならば色があった世界でもう一度だけ兼心の顔を見たかった。そんな事を考えているうちに夕方になってしまった。楽しい時間はあっという間に過ぎるというのはこういう事なんだな。気を使ってくれていたのだろうか例の話関連は出してくれなかった。

「今日はありがとうね。ほたる。」

「そうだね今までありがとうね。さようならは性に合わないしまた会うかもしれないからまたね。」


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