止まっていた時間

色々と片付けをしていると夜になっていた。夜はなんだか悲しくなるから最近は嫌いだった。

「まあ返信来ないよね。そんなもんだね。」

私は自分をなだめるようにそう言った。もしかするとすれ違っていると考えてしまうからである。少しの不安と共に嫌いな時間を過ごすのはあまりにも長く感じていた。一時間後に着信音がして私は何となく見てみることにした。どうせチラシの広告だろうと。

「ほたる。ごめんねグラス。」

少しだけ不安が無くなっていた。でもなんて返せばいいのだろうか。今の関係はなんて言葉に表すか難しい。でもしなくてはならない。

「ねえ。私の事を考えてくれて出してくれたんだよね。辛かったよね。だからこそさ最後に話しておきたいなって。」

「こっちも突然で悪かったなって。色覚は大丈夫。明後日とかはどうかい。」

「何とか回復してきたよ。大丈夫だよ。明後日に話そうね。」

もう過去は向かないで今と向き合えることにした。そのほうが納得がいく答えが導き出せるとおしえてもらったから。そうして止まっていた時間の針は徐々に動き出していた。

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