グラスの破片
「痛い。」
太陽が昇って沈むように当たり前すぎることが起きた。それでも集めていた。もう使い物にならないのにごみに捨てるのに自分になんでと問いかけた。意味のないことを理由もなくしていた。当然に手からは血が流れていた。もしかかすると未だ吹っ切れていないからかもしれない。無意識の中にまた戻れると考えていたのかもしれなかった。片付けを終えて僕は絆創膏を張った。あのグラス好きだったからあとで謝らないといけない。悪いことをしてしまったようだった。
「もう酒はやめようか。」
そう自分に言い聞かせて寝る準備を始めた。すごく重い足取りで浴槽に向かう。これでいいと決めたことなのに揺らいでいた。違う答えがあったのだろうかもっといい未来があったのではないのかと。もう考えないと決めたのに何で。なんで。風呂場で堪えていた感情があふれ出してしまっていた。また心の土砂降りが体に出てきてしまっていた。その声は虚しく風呂場に反響をし始めた。まるで自分が何人もいるような感覚でもうどうしようもない。声をからし上げてただひたすら滝の様に泣くことでしか落ち着かせることしかできなかった。そうして寝床に着くころには声は枯れ切っているので独り言もまともに言えなかった。
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