鮮明な記憶

酒が無くなってきたのでグラスと酒を廊下から持ってくることにした。また鮮明に思い出してしまった。

「だいぶ重症だな。」

そんな独り言を出していた。

ほたると一緒にいてからというもの変わったことがあった。それは大量に飲まなくなったことだ。飲み屋に行って止められたのを覚えている。それまでは普通に適量より多く飲んでいた。

「飲みすぎじゃない。その健康に悪いよ。」

「いいじゃん、飲まないとやってられないの。それに万能薬だし。」

「酒豪が言う言葉だよそれ。断酒しようよ。場違いかもしれないけれどもさ。私も何か止めるからさ。それに楽しいと思うな私。」

「じゃあお菓子とか。それでどうよ。」

「良いよ。私がどうしても食べたくなったらまた飲みに行こうね。」

それからというもの僕は酒の瓶を頻繁に買うの習慣が無くなっていた。この酒を買ったのは半年前ぐらいだろうか。

ほたるのグラスが目に入って思い出した。出来るのならばあの楽しかったころに戻りたい、そう願っても無情にも時は進んでいく一方だった。そう考えているとグラスを二つ落としてしまった。僕はとっさに割れたグラスを手で集めていた。それはまるで何か大切なものを拾い上げていくように。痛いと分かっていても僕の体はそうしていた。

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