第9話 幽霊にはお風呂が必要か?
【お風呂】
「そういえば、鉄平さん。お風呂ってどうします?」
幽霊は、汗をかくのか?汚れるのか?体が痒くなるのか?
なにせ、幽霊に会うのは初めてで、こんな現象もネットになんてのってない。
”あー。そうですね…。”
スンスンと、腕をもちあげ匂いを確かめる鉄平。
”いまのところ、臭わないみたいですが。
依さんにお世話になっている身としては、入っておいたほうがいいんでしょうかね?”
自分で確かめたところ、今のところ問題ないようだが、これから何日かお世話になる身としては臭くなるわけにはいかない。
そんなことを考えていたら、依が近づいてきた。
「ちょっと、失礼しますね。」
依は、いうが早いか鼻を鉄平に寄せて、直接匂いを嗅ぐ。
他意はない。決してない。無意識だった。
「うーん。鉄平さんの体臭なのかな。いい匂いですね。
でも、匂いがするってことは、汗もある程度はかくってことかな?
鉄平さん、庭にいた時も涼しい顔していたから、わからなかった~。
ん?どうしました?顔が赤い??」
みると、鉄平が真っ赤な顔を両手で覆って天をあおいでいた。
”依さん…。無意識ですか…そうですか…。
なんて、心臓に悪いんだ…。
可愛い顔を無防備に近づけて、しかも、胸が…。”
なにやら、鉄平がもごもごしゃべっているが、依には聞こえなかった。
鉄平サイズでの目の高さだと、顔を近づけられると、ちょうど依のTシャツの胸元が真正面にくるのだ。
下着も丸見えになるし、ブラの隙間から際どい場所も見えそうになっていた。
そんなことになってるとは知らない依は、無自覚に鉄平をあおり、鉄平の感情に多大な影響を与えてしまったのだ。
「よし!じゃあ、お風呂入りましょう。
用意しますね。」
依は、熱めのお湯をプラスチックの保存容器にいれてテーブルに置いた。
鉄平サイズの浴槽にぴったりだ。
再度、本を立てかけ、衝立を用意すると、つぎからつぎへとお供えをしていく。
シャンプーリンスにボディソープ、タオルを置くとポポンッと鉄平の周りに現れた。
洗い場は、揚げ物の油をきるバットで代用。
これで、使ったお湯が網を通って下に流れていく。
体を洗うためのお湯はコップにいれ、バットの上に置いた。鉄平サイズにするために洗面器とお風呂椅子はお供えした。
シャワーは、用意できないので洗面器ですくって直接流してもらうのだ。
「よし!これでミニチュアお風呂の完成。
それにしても、保存容器の湯船にはいる鉄平さんを想像すると...、料理の下拵えって感じ??
鉄平さんだと、食材は何になるのかな?
細いからきゅうり??それとも鶏のササミ??
うーん、実際に入ってる鉄平さん見たいです。
だめですよねぇ、さすがに。」
”そ、それは、無理です…。
小さくなっていても、全身成人男性の体ですし…。
僕が、無理です…。”
「そうですよね...。
言ってみただけです。うーん、あっ!!
鉄平さん明日、水着買いに行きましょう!!そしたら、湯船に入った鉄平さんを見れます。
ついでに、鉄平さんのために、人形用の陶器で出来た猫足バスタブ買いましょう!!絶対、似合う!間違いないです!
明日は、起きたらショッピングモール行きましょう!!」
依は、明日の事が楽しみになってニコニコと笑みが止まらなくなった。
明日、買い物に行くのは決定だ。
逆に鉄平は、水着を着せられ明日は風呂を覗かれそうだ...と、困惑し、戦々恐々として戸惑う。
なんとか説得してあきらめてもらわなくては!と、決意したのだった。
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