第15話健二郎の決意

 豊和の卒業式の映像をネットで見掛けただす。ああいうのが男らしいと僕は勝手に思ってるだす。それに豊和に憧れてるだす!初めて豊和の配信を見た時もこういう男が居るんだ…。こういう男となら友達になりたいと思ったもんだす!



 学校に行くと彼女を見掛けただす。彼女は来てるだすな…。豊和と駿は休みだすか…。さてはゲームでも徹夜でしただすな?まあ、僕は僕が決めた事をするだす!出来れば豊和と駿にも居て貰いたかったけど仕方ないだす。なんせこれは時間がかかる筈だす…。



 今月から僕の男性ランクはBランクになった…。少しだけ…その権利を使わせて貰うだす…。丁度都合が良いことに今日は体育館で学校行事に関する全校集会があるだす…。大丈夫…僕は出来る!出来るだす!勇気を振り絞るだす!





******


 全校集会が終わるタイミングで僕は壇上へと上がる…。


ざわざわざわざわざわざわ…


 ホント…よくみんなの前で豊和は色々出来るだすな…。尊敬するだす。みんな何事かと思ってるだすな…。でも…今日は…今は僕が…


『…すいません!一年の太塚健二郎だす!この場をどうしても借りて…彼女に伝えたい事があるだす!』


「「「「「キャー告白するの!?」」」」」

「「「誰?誰に!?」」」

「太塚君…かなりカッコよくなったもんね」

「断る人居ないんじゃないの?」

「気さくだしね」

「ホント誰なんだろ?」

「いいなぁ~」

「そういえば男性ランクも上がったらしいしね?」

「そうそう…もう1人の可愛い男子はCランクでしょっ?」

「この学校神男子しかいないじゃん!?」

「それね!」

「だすの語尾がまたいいよね」

「分かるわ~」


『伝えたい事がある女性は…愛想ヨイさんだす!!!』


「「「「「「…えっ?」」」」」」

「愛想さん…てっ…」

「先日豊和君の配信に出てた?」

「マジっ!?」

「私じゃないのか…」

「でも…何を伝えるの?」

「妊娠してるだろうからおめでとうとか?」

「大事な友人を祝うみたいな?」


「わ、私!?」


 愛想さん…物凄く驚いてる…。そりゃあそうだすな…。この間フッた相手だすしね…。でも…


『僕は…僕は愛想ヨイさんが好きです!お腹に豊和の子供が居ても…尚、君が大好きだす!君以外考えられないだす!』


 僕は…君以外考えられないだす!


『豊和との結婚は考えていないだすよね?僕はその子と君を一生愛する自信があるだす!例えここでフラれても諦めるなんて選択肢は僕にはないだす!今…愛想さんが豊和の事しか見てないのも分かってるだす!でも…でも必ず僕に振り向かせてみせるだす!だから…だからそれを覚えておいて欲しいだす!毎日アタックするので宜しくだす!どうか君の人生に関わらせて欲しいだす!』



 伝えたい事は伝えただす…。後は有言実行だす!毎日アタックするだす!振り向いてもらえるまで…。気持ちが重くてごめんだす。でも…どうしても君がいいんだす…。壇上を降りると拍手の嵐…。彼女はやはり戸惑っているだすね…。でも…



パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!



 これが僕の生きる道だす…。いつかこの気持ちが届く事を願うだす…。

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