第14話健二郎宅へ
健二郎が学校に来なくなって一週間が過ぎた。休んでいる理由は体調が優れない為と聞いている。もっと早くに見舞いに行きたかったんだけど風邪が酷い為、うつしたらいけないからと断られてしまったんだ。うちには妊婦も居るから気を遣ってくれたんだと思う。健二郎は優しいから…。
流石にそろそろ見舞いに行ってもいいだろうと駿と話し合い見舞いに行く事にした。見舞いに行った後は駿が僕を家に泊めてくれるらしい。
「豊和君の所は妊婦さんが居るし万が一風邪とかをもらったら大変だからうちに来なよ。うちなら妊婦さんとかは居ないからさ!何日でも泊まっても大丈夫だから!」
駿のその言葉に甘えさせてもらう事にしたんだ。─で、駿と2人で健二郎の家に向かったんだ。護衛は駿の所の護衛が2人後ろから念の為付いてきてくれてるしね。
健二郎の家に来るのも久しぶりだ。玄関近くの護衛に声を掛け、僕達が来た事を伝えてもらう。健二郎の家も結構大きいからね。しばらくして家の中へと通され、メイドさんの案内で健二郎の部屋へと向かう。
「…2人共…わざわざ来てくれただすね」
部屋に入らせてもらうと健二郎の姿…。また少し痩せたか?でも、風邪は殆ど治ってる?
「風邪は大丈夫?」
「大丈夫なの?」
「…そうだすな…。実は風邪で休んだんじゃないだす」
「「そうなの!?」」
「…フラれたショックだす」
フラれたのか…。それはショックだよな。
「健二郎君フラれたの!?」
「お、おい…駿!?」
「…僕もフラれちゃったんだよ…」
「「…はっ?」」
駿もかよっ!?確かお姉さんと妹さんだったよな?
「…2人共さ…。姉さんは姉さんで弟にしか見れないって言うし、妹は妹でお兄ちゃんにしか見れないっていうし…」
「…そ、それは…」
「…しゅ…駿…何て言っていいのかだす…」
「まあ、僕の場合は母さんと結ばれたし…それにね…。あることを約束したから…」
「え~と…」
「おめでとうと言っていいだす…か?」
「あ、うん!だからといっていいわけではないけど、健二郎君もそんなに落ち込まないでね?気持ちは痛い程分かるけど…」
「…大丈夫だす!心の整理はついてるだすよ!」
「そっかぁ…」
「じゃあ…」
「豊和…」
「どうしたんだ健二郎?」
「豊和にどうしても言っておく事があるだす」
「え~と…改まってどうしたんだ?」
「愛想ヨイさんの事なんだけど…」
「…ん?」
「僕は彼女が好きなんだす…」
「えっ…」
「あの配信がある前にフラれただす…。でも…」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ健二郎!健二郎が愛想さんを?でも、彼女のお腹の中には…」
僕の子が…
「…分かってるだす。それに配信で関係を持ったからとはいえ全員と結婚する訳ではないだすよね?」
それは…そうなんだけど…責任という訳ではないけど…ちゃんとしようとは思っていた。
「いつになるか分からないけど彼女に僕を受け入れて貰いたいと思ってるだす。それで受け入れて貰えたその時は僕の子として愛情いっぱいに育てるだす」
「…俺は健二郎を苦しめて…た?」
「違うだす!豊和のせいじゃあないだす!彼女には彼女の想いがあっただすよ!彼女も妊娠した後は一人で育てるつもりだった筈だす!あの配信に応募するという事はそういう事だす!とにかく彼女のこれからの人生に関わっていきたいと思ってるだす…。明日から彼女に猛アタックする前に豊和に言っておきたかっただけだす…。応援してくれると嬉しいだす…」
「…と、取り合えず健二郎君、そ、その辺で…豊和君も混乱しているだろうし…。元々今日はこの後、豊和君をうちに泊めるつもりだったから…連れて帰るよ!」
「すまないだす…」
駿に手を引かれながら健二郎の家を後にして…駿の家へ向かった…。
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