第9話

やばい、不覚にもストーカーに、元気づけられてしまった。

あなたと話してるより学校に行った方がいい、なんて言っちゃったけど、励まされたのは事実だし、お礼を言うべきだった。

でももうあの人も帰ってるよね。

もう一回会いたい。

それで、ちゃんとお礼を言いたい。

ん?お金なかったじゃん、あの人。

てことはストーキング中か家の前で待ってたりするか、そうじゃなくてもどこかしら近くにはいるよな、きっと。

帰っていなかったら、少し探してみよう。

いや待て、ストーカーにそこまでする必要あるのか?私。

てか会いたいって何?どうしたんだ私。

これはやばい、もしかして私、あのストーカーに手のひらで転がされてる?

でもお礼は言うべき、だよね、うん。

お礼を言うために会うだけ、それだけ。




やっぱりいました、家の前に。

この人ならそうすると思いました。

お礼は、しっかり言うべき。

「あの、朝はあなたと話してるより学校に行った方がいい、なんて言ってしまいましたが、あなたの言葉に不覚にも元気づけられてしまったので、一応言っておきます。ありがとうございました、励ましてくれて。」

『おぉ、なんか素直だね。いいんだよ。ストーカーとしてストーキングする相手の元気な姿が一番だからね。元気出たなら良かったよ。』

この人の言っていることは決して普通ではないのに、結構やばいことを言っているのに、なんか普通に、というか私の心の中でこの人の言葉が、なぜかキラキラしている。

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