第8話
まあ、そんなこんなでもう学校に行く時間なわけですよ。
そう、鳴海くんは隣の席なんです。
この学校の恨むべきところは席替えがないところですね。これから3月までずっと鳴海くんの隣に座らないといけないんです。
耐えられません。
鳴海くんに気まずい思いをさせてしまうという、私のせいで。
私が告白なんてしなければ。
でも鳴海くん、私のこと柚香ちゃんって呼ぶようになってたんですよ。
ワンチャンいけるんじゃないか、って思っちゃうじゃないですか。
てことで判明したことは鳴海くんは天然タラシということですね。
そんなことはどうでもいい。
鳴海くんに気まずい思いをさせてしまうんですよ、このまま学校に行っても。
3月までですよ、ずっと。
ってことで学校に行きたくなさすぎて腹痛がやって参りました。
休んでいいですかね、腹痛だって重大な病ですよ。
でも休むと授業に追いつけないんですよ、頭の良さだけが取り柄なのに。
本当に、鳴海くんという方に告白するならば身の程を知れ、私って感じですよね。
ああ、鳴海くんに会うのが辛い。
こんなこと初めてです、鳴海くんに会うのが辛いなんて。
今までこの一ヶ月鳴海くんに会うために学校に行ってたようなところがあるのに、こんなにも会いたくなくなるなんて思ってもいませんでした。
どうしましょう、本当に。
『悩んでる顔してんねぇ。』
「だって鳴海くんに気まずい思いをさせてしまうんですよ。そんなの耐えかねます。無理です。」
『凄いね、フラれたのにまだ相手のこと考えられるって。君ほんと優しすぎでしょ。』
「どこがですか。私の言っていることは事実でしかないです。」
『僕だったらフラれたらその人に死んどけよって思っちゃうね。』
「冗談ですよね?やめてください、可哀想です。」
『うん、冗談、君のこと励まそうと思っただけ。でも実際、相手のこと考えるより、フラれたー、何がダメだったのかなー、って考えるはずだよ、普通は。』
「そこまで励まそうとしてくれなくていいです。あともう学校行くのであなたも出て行って貰ってもいいですか。」
『お、学校行く気でた?』
「あなたと話しているより学校に行った方がいいと思っただけです。」
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