第4話
『死ぬの?』
「うをぉわぁいうぇ!」
やばい、驚き方がキモすぎた、私。
てかこの人誰だ?全っ然知らないんだけど。
こういう時止めに来るのって担任とか鳴海くんとかじゃないっけ。
『頭にはてながいっぱいだね。めっちゃ顔に出てるよ。』
「え、や、だって、あなた誰ですか?そもそも、この学校の人ですか?」
『違うよ、僕はこの学校のひとではないよ。』
「ですよね、制服じゃないし、先生にもいた覚えないし。え、じゃあ誰なんですか、ほんとに。」
突然その人が私に近づいてきた。
「え、来ないでください、近づかないでください、やめてください。」
『あ、ごめんね、でも柵の外にいるのも危ないから戻ってきてよ、一旦。』
手を貸してくれたが、私は手を取らず、言われた通り私は柵の内側に戻る。
『ありがとう、僕は須藤康介だよ。』
「いや、名前言われたところで全く分からないんですけど。」
『そうだね、えっと、僕は君のストーカーだよ。』
「いや、平然と言われても、ストーカーって。」
ん?ストーカー、ストーカー?!
「ちょっと警察通報させてもらいますね。」
『君今スマホ持ってないでしょ。』
「うわ、ほんとだ。ってかなんで知ってるんですか。やめてください。」
『だって君のことはいつも見てるんだよ。ストーカーなんだから。スマホにGPSだってつけてるし、君がいつもバッグにスマホを入れてるってことも知ってるよ。ポケットには入れない派。』
「あ、いいです、いいです。気持ち悪いのでそんな詳しく言わなくていいです。てかGPSってどこまでも気持ち悪いですね。無理です。」
『ねえ、今日の夜ご飯何がいいと思う?』
「話が急に変わりますね、自分で考えてください。」
『君ほぼ一人暮らしでしょ、親から離れてまでこの学校に来てお兄さんと暮らしてるけど、そのお兄さんも仕事で忙しくて帰ってくることはほとんど無くて。』
「だからなんで知ってるんですか、どうやって知ってるんですか、兄までストーカーしてます?もしかして。」
『いや、君だけだね。ストーカーしてるのは。たぶんっていう予想で言っただけだけど当たっちゃった、てへぺろ。』
「真顔で言うものじゃないです、てへぺろは。」
『そんなことはどうだっていい、夜ご飯はどうするって話だよ。』
「だから自分で決めてください。」
『なんでよ、最後の晩餐楽しもうぜぇ。』
「テンションも急に変わりますね。どこまでも気持ち悪いです。てか何ですか、一緒に食べるつもりですか?それならもちろん嫌ですよ。」
『なんでなんで、ストーカーと被害者の仲じゃん。最後の晩餐くらい一緒でもよくない?』
「良くないです。どこをどう考えたら良いってなるんですか。頭大丈夫ですか。」
『じゃあさ、死ぬんだったら、君のことは死んでも愛せる自信があるので自殺する前に一度だけ僕と付き合ってください。』
「なんですか、それ。ちょっとよくわかんないです。」
『告白したのにそれはなくない?僕ちゃん悲しい、ぴえん。』
「あ、告白なんですね。もちろんお断りです。」
『えー、絶対僕と付き合ったら楽しいのに。君の行きたいところ全部連れていくし、欲しいもの全部買ってあげるし、食べたいものなんでも食べさせてあげるし、もう君のためなら何でもするよ、僕。これ以上に良い人いなくない?他に。』
「いや、ストーカーな時点で良くない人です。別に欲しいものとかなんもないんで、てか死ぬんでどうでもいいです。」
『ええやぁん、なんであかんのぉ?』
「だからさっきから急に変わるテンションが本当にとても気持ち悪いです。てか、ストーカーと付き合うとか絶対あかんですよ。1ミリも良くないです。」
『え、だって死ぬんだよ?だったら最後に誰かと付き合おうがなんだろうが変わらないでしょ。てことで付き合お?ね?一ヶ月、いや、一週間でいいからさ?』
「絶対だめだと思います。さすがにストーカーは。」
『あの、ほんとにいくらでも借金とかして君に貢ぐよ、僕。で、別れるってなったら一緒に死ねば良くない?まじでダメ?』
「ダメですね。」
『えぇぇぇ、なんでぇぇぇ、やだぁぁぁ!』
「うるさいです。さすがにうるさすぎるんで、まじでやめてください。」
『じゃあ、わかった。付き合うのは諦めるよ。君公認のストーカーってことでどうかな?』
「あー、もー、いいですよ、あなたがしつこい人というのはわかったんで止める気も失せました。大人しくストーカーしててください。」
おっと、私、許可してしまったよ。
え、どうすべき?これ。
教室戻ったら通報するか。
「あ、ちょっとここに30分くらいいてもらっていいですか?私のためならなんでもするんですよね?」
『もちろんいいよ。警察に通報とかする気なら嫌だけどね。基本的に君は考えてることがすぐ顔に出るんだよ。めちゃくちゃ分かりやすいからね。ほんとに。』
「、、、嫌です、通報させていただきます。ではさようなら。」
『やーだね。』
やばい、ストーカーに手首がっちり掴まれてる、終わったわ。
ありがとうお母さん、お父さん、お兄ちゃん。
勉強を教えてくれた先生、一ヶ月だけ仲良くしてくれた鳴海くん、ありがとう、そしてさようなら。
『いや、殺したりしないから僕。何その人生の終わりみたいなの。』
「え、声出てました?」
『だから顔に出てるって。てか死のうとしてた人が他の人に殺されるってなった時そうやって考えるならやっぱり死にたくないんじゃないの?』
「、、わかんないです。死にたいか、死にたくないか。でも生きてる意味もわかんないんです。」
って私なんでストーカーに人生相談してんだ?
なんか色々分からなくなってきた、もういいわ、諦めた、ストーカーだろうがなんだろうがどうでもいい。
『自暴自棄になりすぎじゃない?君なりやすいよね、っふ。』
「いや、笑わないでください。てかまた顔に出てました?」
『今回は顔にも出てたし声にもでてた、くっ。』
「そんな笑います?やめてください、なんか嫌です。」
なにこの人、めっちゃ笑うじゃん。
絶対馬鹿にしてるよね、過呼吸気味に笑うし。
『まあ、ストーカーだろうがなんだろうがいいなら夜ご飯一緒でいいよね?っぐふっ。』
「もうなんか、断る気も失せてきました。」
『よっしゃぁ!じゃあ君たしかオムライス好きだよね、オムライス食べよー、おー!』
テンションの変わりようがすごいな、この人。
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