第4話 雪ちゃんの想いと優希の思惑
ゆ、雪ちゃんが
またもや雪ちゃんの
そんなアタシの頭を優希がポンポンと
「そんな
優希の問いかけに雪ちゃんはハッキリとした口調で答える。
「うん。・・・・サスガにあたしも手術なんて考えてないよ」
優希はうんうんと頷くと、またマジメな顔つきになる。
「いちおう確認しとくけど。雪、お前は
「・・・・違うと思う。あたしは自分が「男の子」だって思った事は無いし、「女の子」である事に
なんだ ? またアタシには
「それじゃ、お前が「男の子になりたい」ってのは」
「ちょっと、待てや!」
アタシは優希の話に
「な、なんだよ」
話の
「何だよ! さっきから2人でアタシにはワケのわかんない話ばっかして! アタシだけ
「アタシ達は保育園の頃からずっと一緒だったじゃんか! 「なんとか障害」って何の事だよ! アタシだって雪ちゃんが
アタシの顔は涙と鼻水でグシャグシャになってた。
すかさず雪ちゃんがアタシを
「ゴメン、ゴメンね。勇気ちゃん」
そう言ってタオルでアタシの顔を拭いてくれる。
それから優希にちょっと強い
「ダメだよ優希くん。ちゃんと勇気ちゃんにも
「あー、確かにそうだな。ゴメンな勇気」
優希はバツの悪そうな顔でポリポリと頬を
「俺は4年生になってからこれまでは使わなかった言葉とか使い始めただろ ? これってアニキの影響なんだ」
「優希くんのお兄さんって今年、国立大学に入学したお兄さん?」
雪ちゃんが
優希の兄ちゃんならアタシだって知ってる。
「あぁ、
優希はフウッと息を吐くと話を続ける。
「アニキは、こう言うんだよ。「いいか、優希。俺が言った事を
優希はアタシと雪ちゃんの顔を見ながら
「俺の言ってる事はアニキの
「・・・・優希、今はイケメンだよ。優希の兄ちゃんも」
アタシは雪ちゃんに顔を拭いてもらいながら親指を立てる
そしたら雪ちゃんも優希に向かって微笑みながら親指を立てた。
それを見た優希もガラにもなく
アタシ達3人は大きな声で笑った。
仲良しトリオの復活ってヤツかなぁ。
アタシは雪ちゃんからもらったティッシュで鼻をチーンとしてから優希に尋ねる。
「じゃあ、その「なんとか障害」から教えてくれよ」
「それは、身体は女なのに
ん ? 心と脳って2つの言葉が出て来たぞ。
「おい、優希。心と脳ってなんか違うのか ?」
「それを説明すると長くなるからな。とりあえず今は「同じモノ」って考えてくれれば良い。そして、それは
んん ?「イガクテキ」って何だよ ?
「あのね、勇気ちゃん。それは「決しておかしな事じゃない」って認められてるって事なんだよ。残念だけど「おかしい」って思う人達もいるけどね」
雪ちゃんがフォローしてくれた。うん、雪ちゃんの説明の方が判りやすいよ。
「オホン、それで今の日本では医者から正式に認められてる人は1万人くらい居るんだけどアニキは「もっと多い」って言ってる」
優希はちょっと
「え ? 「もっと多い」って、どう言う事 ?」
「つまり「そう言う事」を
えっ、アタシが「そう」だったら ?
「うーん、話せるとは思うけど。ちょっと話しづらいかも」
「そうだろ ? そして世の中の親の
うーむ。世の中って「フクザツ」なんだなぁ。
「それで、「そう言う人達」を
「何だよ! 「メイモク」とか「ホウアン」とか「セイテイ」とか。またアタシにはワケわかんない言葉を使いやがって!」
優希はマジメな顔つきのままでアタシに頭を下げる。
「ゴメンな、その
優希は両手を
「なぁ、雪」
「えっ、何 ?」
雪ちゃんはいきなり名前を呼ばれてビックリした顔になる。
「お前が「男の子になりたい」って言い出した本当の
「・・・・それは、そうだけど」
雪ちゃんは頬を染めて
なんだ、なんだ。アタシが理由ってなんだよ。
しばらく俯いていた雪ちゃんが顔を上げる。
「・・・・そうだね、優希くんの言う通りだね。元々の言い出しっぺは、あたしなんだし」
なに、なに ?
雪ちゃんが何か「ケツイ」を「コメタ」顔つきになってるけど。
でも、こう言う顔つきの雪ちゃんはホントにキレイなんだよなぁ。
「あ、俺。また
優希がワザとらしいセリフを残して水飲み場の方へ駆けて行く。
「勇気ちゃん。
雪ちゃんはベンチに
あのー、雪ちゃん ? ちょっとコワイんですけど。
でも雪ちゃんの「フンイキ」に「アットウ」されたアタシは雪ちゃんと同じようにベンチに座り直す。
「勇気ちゃん。あたしの眼を見て」
雪ちゃんは
雪ちゃんの
アタシはまた固まってしまいそうになるのを何とかこらえる。
「あたしは、勇気ちゃんが好き」
雪ちゃんの
「アタシだって雪ちゃんが大好きだよ」
「勇気ちゃんの「好き」と、あたしの「好き」は違うの」
雪ちゃんの紅い唇が言葉を
「あたしの「好き」は勇気ちゃんをあたしだけのモノにしたいの。あたしだけを見て欲しい。あたしの声だけを聴いてほしい。あたしだけを感じて欲しい」
雪ちゃんの言葉は続く。
「あたしは大人になったら勇気ちゃんと
「雪ちゃんは「男の子になりたい」って思ったんだね」
アタシは自分でもビックリするくらいに冷静に答えてた。
「うん。勇気ちゃんの身体に何かするなんて、あたしには
「ありがとう、雪ちゃん」
アタシは雪ちゃんに抱きついていた。
「雪ちゃんはホントにアタシの事を
「・・・・だって勇気ちゃんは、あたしにとって「特別に大切な人」だから」
ザワッ
ザワワワワッ
公園の
アタシの心を
アタシと雪ちゃんはお
「ゴメンね、雪ちゃん」
雪ちゃんは悲しそうな眼でアタシを見てる。
「アタシには雪ちゃんの「特別な好き」の
「フフッ」
雪ちゃんが
雪ちゃんの
「
んん ? 何か雪ちゃんの
「雪ちゃん、雰囲気変わった ?」
「うーん。勇気ちゃんにあたしの
そう言って笑う雪ちゃんからは「ビョージャク」な雰囲気が
「雪ちゃんは中学生になる頃には身体が丈夫になってると思うな。これはアタシのカンだけど」
「本当に ? やっぱり勇気ちゃん、だーい好き」
さっきまでの雰囲気は
「おーい、話は終わったのかぁ」
「テメェ、女の
「それは違うと思うよ。勇気ちゃん」
へ ? 何で雪ちゃんが
アタシの「?」いっぱいの顔に雪ちゃんが答える。
「だって優希くんはあたしの
「まぁな。で、結果は・・・・聞くまでも無い、か」
雪ちゃんはアッサリと答える。
「うん、あたしの
「やっぱりな。ま、俺としては
アタシはブチ切れる。
何で、雪ちゃんの完敗を優希が喜ぶんだ。そりゃ原因はアタシかも知れないけどさ。それにしたって雪ちゃんの気持ちを考えろよ!
「おい、優希。その言い方は何だよ!」
「ん ? そりゃ、その方が俺には有利だからな」
はぁ ? なんじゃ、そりゃ。意味わかんねぇ。
「お前が有利って何の事だよ」
「決まってんだろ」
優希は少しタメを作って、言い
「勇気は俺が
な!
な、な!
な、な、な!
なんじゃ、そりゃあぁぁぁ!!!
つづく
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