第2話 変な授業
リコーダーの
とても
これは雪ちゃんが
音楽の授業の
演奏が終わってからも音楽室の中は
「ねぇ、今の曲ってなんて名前なの ? どっかで聴いた事があるような気がするんだけど」
アタシは同じように拍手している優希に聞いてみた。
「バッハのメヌエット。テレビのCMとか電話の
「ふーん」
とりあえずはそう答えたけどアタシには「バッハって誰 ?」ってカンジ。
優希は小学校に入ってからホントに
そして優希は学校の成績表も良いんだぁ。雪ちゃんに続いてクラスで2番目なの。アタシ達は仲良しトリオだから3人で
音楽室の拍手が
「とても
アタシ達の担任は若い女の先生なんだけど、その
「あーぁ、またあの授業かぁ」
アタシは両手を頭の後ろで組んで
「勇気には、あの授業は
雪ちゃんは、あの授業の前後にはアタシ達とは一緒にいないんだよね。なんでだろ ?
「だってさぁ、
「まぁ、それも
優希がちょっとマジメな顔つきになって答える。
「優希は「タヨーセイ」の意味がわかるの ?」
アタシはちょっとビックリして優希を見る。
「うーん、言葉の意味くらいはね」
「それなら教えてよ。「タヨーセイ」って、どういう意味なの」
優希はまたも「うーん」と考え
「俺と勇気は
「そんなの当たり前じゃんか。アタシと優希は別の人間なんだから」
そう言うアタシを
「そう。人はそれぞれ違う考えを持っている。
「え、「カチカン」ってなに ?」
うーむ。またアタシの知らない言葉が出てきたぞ。
「その人の考えの
「うん、わからん」
アタシは
「
優希は軽く笑い声を出す。
「そうだなぁ・・・勇気の好きな動物って何だ ?」
「え、うーんと。
「そうか。俺は
は ? 何で、ここで好きな動物の話なんかするの ?
アタシの「ワケわからん」と言う顔を見て優希は
「つまりさ。勇気は猫が好き、これが勇気の価値観。俺は犬が好き、これは俺の価値観って言うワケさ。判るか ?」
「うーん、確かに人によって好きな動物は違うだろし・・・これがカチカンの違いって言う事 ?」
アタシが答えると優希は
「正解 ! やっぱり、お前は
アタシはワシャワシャしてくる優希の手が、うっとおしくて
「うっさいわ! じゃあ、その「カチカン」の違いってのが「タヨーセイ」って事っで良いの」
「まぁ、今はそれで良いよ。俺は犬が好きだけど、勇気が猫が好きって言う価値観も
うーむ。なんかまだ良くわかんないけど、少しは「わかった」ってカンジかなぁ。
「ね、ね、じゃあさ。「ドーセイコン」って、どういう意味 ?」
「
「えぇぇぇっ!」
アタシはビックリした。女の子どうしで結婚って、どう言う事 ? それじゃぁ、赤ちゃんが出来ないじゃん!
「ゆ、優希も「ドーセイコン」を認めるの ?」
アタシが
「いや、認めるって言うか。俺にも良く判らないんだ」
優希が
「って、おい。もうすぐ授業が始まるぞ」
そう言って優希が
「あーあ、なんでアタシらだけ「変な授業」を受けなきゃいけないんだろ。保育園の時の友達に聞いたら、
「仕方ないだろ。俺らの学校が
「モデル校って、なんだよ」
アタシ達のおしゃべりはそこで終わりになった。「変な授業」の始まる時間になったから。
「あー、今日もあのオジサンが言う事。よくわかんなかったなぁ」
アタシと雪ちゃんと優希の3人はいつも通りに学校からの帰り道を歩いていた。いや今日はいつもとは違う道だ。「変な授業」が終わってからクラスの皆で教室の掃除をして担任の先生から「それでは来週も皆さん元気にお勉強しましょう」って
そこには雪ちゃんがアタシと優希を見て立っていた。両手を胸の前で組んでいる。
雪ちゃんは今にも泣き出しそうなんだけど、それでいて
「あの、あのね・・・あたしは男の子になりたいの!」
つづく
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