最後の期待―大雅side


――大雅side


「いやぁぁぁぁ!!!こんなの私の子じゃないわ!!!?誰よこんなの連れてきたやつ!!」


「お、おかぁ…s」


「やめてッッッ近寄らないでっ!!こんな醜い化け物見たことないわッッッ!!?」

「出てけ!!!」


――パタンッ


「おと、ぅさん??」


「やっぱりお前は俺の子じゃないのか…母親の雪が自分の子分からないはずないしな…」ボソッ


「ぇ?」


「おい、誰かいないか!」

「はっ、旦那様」

「これをどっか捨ててこい」

「かしこまりました」


物心ついた時から俺は1人だった

勉強しろ勉強しろ、と大量の本を

渡された


家の使用人に1人だけ喋ってくれる奴がいた

「手がかからなくなる10歳まではお母様には会えないものなのです」

「だから10歳までこの佐々木、側にいます」


優しかった

「大雅様、お誕生日おめでとうございます」

そう言って飴をくれた

「お母様も会いたがってましたよ」

寂しい時はそう言ってくれた


だから愛されないなんて、捨てられるなんて

思ってもなかったんだ…





――ズサッ

「いっっ!」

「坊ちゃんに親はいなかったんです。いいてすね??…では」


どうして…勉強頑張ったのに…

10歳までいっぱい…いっぱいいっぱい…っ


「ぅわぁぁぁぁんッッッ」

「…ぃが様!…たぃが様!…大雅様!!!」ギュッ

「良かった…良かったご無事でッッッ」

「さっ、ささ、ささきっ!」

「大雅様、急ぎます!失礼!」


そこからは気付けば

ボロボロのアパートにいた…

あの父と母に見つからないように、と

佐々木がくれた新しい家


狭かったけどご飯もあったし

たまに佐々木も来てくれる。

こんな生活もいっか、と1年経った頃には

父の事も母の事もどうでもよくなっていた

だけどそんな時…

佐々木が来なくなった。大家?にも

滞納してるから出てけって言われた


「佐々木にも捨てられたんだろうか…」


どこへ行こう…

3日くらい歩き回って空腹と眠気で倒れた所保護され児童施設へ


名前が大雅、って事しか分からないまま

学校に行く事にもなった

地獄だった…

帰っても地獄、学校でも地獄…


見た目が醜いのは佐々木が消えて

3日間さまよった時に理解したつもりだった

「こんな所に座るんじゃねぇよ!お前の醜さで客が来ねぇじゃねーかッッッ」

「やば…見てあれ……ぶっさぁww」ヒソヒソ

「うっ、勘弁しろよ」ボソッ


耳に入ってくる声は

全て酷いものだった…


今は施設、学校、どこへ行っても

なにかあったら全て俺のせいなのが当たり前

「せんせー!俺のおもちゃが〜」

「あらあら、また大雅くん?」

「心まで醜いのねぇ…」ボソッ


「えー、今日はここにあった給食費がなくなりました!誰がやったかは想像つくが自分から名乗り出るように!」

「うわ、親に捨てられた奴は泥棒もすんのかよww」ボソッ

「やめなよwただでさえ醜いってだけで可哀想なんだからよww」


こんな日々をいつまで続ければいい?

もう無理だ…


その日からもう施設に帰るのはやめた

学校も行くのやめた


不良、と言われるような

喧嘩ばかりの連中と居るようになった

色んな奴の家を泊まり歩いていたら

3年も経っていた

16になりバイトを始め、またあの

ボロボロアパートに戻った

身分証とかないから大家に直接、と思ったら

ずっと払われてたらしい


そのまままた住み始めた

佐々木がまた来るかもと期待をして…

また…3年経った…19か

20になったら死のうかな、なんて

また喧嘩を始めて20になるその日

起きたら幸せが待っていた……


真っ赤になってあたふたしてるこいつと

あったかく優しいこの小さな手を

守ってく為に生きてみてもいいのかもしれない



早くパパだって認めてくんねぇかなぁ

そうしたら堂々とお前の横に…


…………いさせてくんねぇかな






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る