本文第二話
“頭を抱え憂鬱に沈む天使の背後、新しき武器が赤い頭を叩いた時を刻む魔方陣、そのΣが、翠の威光を貫く鼠と馬から乖離した場所を示す石標へ行け。”
「…失礼ですが、そもそもこの暗号文は、一体どういった経緯で?」
「………………」
「…言えない事情ならば、無理に言って頂かなくても良いですよ」
「いえ、そういう訳では無いんですが…じゃあ、秘密ということで、何卒」
人それぞれ、言えない事情というものが一つくらいは存在するものだ。背景知識が必要である前提の暗号ではなさそうなので、無理に聞き出す必要もない。
「そうですか」
「それで、あのー…暗号解けそうですか?」
正直言って、何故私が解かなければならないのか疑問ではあるが、食堂で涼む間くらいは、頭の体操をしても良いかもしれない。
「少し待っていただけると…助かります。お時間は大丈夫ですか?」
「はい、暇なので!」
「ならあなたも考えてくださいよ…」
自分で解け自分で。
「これを食べ終わったら考えます!」
はぁ…。マイペースだなぁこの人。まぁ、暗号はもう解けたから、良いんだけどね。解説は彼女が食べ終わってからかな。…十二時半の新幹線に間に合うように解説するとしようか。
「この冷やし坦々麺美味しいですね!」
もしかしてこの人…暗号なんてどうでも良いのでは?
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